第37号:資源探査技術
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特集巻頭言:資源探査技術

中国科学技術月報2009年11月号(第37号)  2009.11.1発行

はじめに

 中国の青海省祁連山の南縁にある永久凍土帯に位置する天峻県木里鎮で、2009年9月25日にメタンハイドレートが発見されたとの報道がありました。陸上での発見としては、中国国内では初めてで、カナダ、アメリカに次いで3カ国目だそうです。

 メタンハイドレートとは、メタンと水が低温かつ高圧の条件の下で固まった結晶で、見た目は氷に似ていますが、火をつけると燃えるため「燃える氷」とも呼ばれているものです。また、利用が比較的簡単な上、燃焼効率が高く、汚染物質も排出しないことから、地球上で開発されていない最大の新エネルギーだと言われています。

 中国は、世界第三の凍土大国であり、凍土面積は215万平方キロに達しています。天然ガスハイドレートが存在する良好な条件を備え、資源利用の大きな将来性を持っています。科学者の初期的な推定によると、埋蔵量は少なくとも石油換算で350億トンに達するそうです。

 また、10月には中国石油化工が重慶市で貯蔵量1000億立方メート級の巨大ガス田を発見したとの報道もなされています。

 一人当たりの消費エネルギーは依然低いものの、将来的にはエネルギー消費大国となるとされている中国では、上記の報道にあるように、国土に豊富な資源を抱え、なおかつ積極的なエネルギー開発を展開しています。

 今回は、中国にとって、また近海に多くのメタンハイドレートを含めた資源を埋蔵しているとされる日本にとっても、今後ますます重要になるであろう「資源探査技術」を中心に特集を組みました。

 読者の皆様の一助になりましたら誠に幸いです。

中国総合研究センター

記事一覧

南海北部大陸棚における天然ガスハイドレートの生成・集積体系に関する基本的研究

・・・ 吴时国(中国科学院海洋研究所海洋地质与环境重点实验室副主任)

深海自律型水中ロボットの開発及び大洋資源調査におけるその応用

・・・ 王 越超(中国科学院瀋陽自動化研究所所長)

中国海洋における鉱物資源およびその探査・開発の展望

・・・ 莫 傑(中国国土資源部青島海洋地質研究所科学技術諮問委員会弁公室主任)

塔河地区西南部の古生界砕屑岩油ガス集積評価法

・・・ 周 文(成都理工大学エネルギー学院 副院長/共著者:趙冠軍 葉斌 鄧虎成 李秀華 黄婷婷)

中国の海底資源調査・研究の進展

・・・ 初鳳友(国家海洋局第二海洋研究所国家海洋局海底科学重点実験室首席研究員)

衛星リモートセンシング観測技術の利用

・・・ 張 良培(武漢大学測量製図リモートセンシング情報工学国家重点実験室特別招聘教授)

衛星レーザー通信端末機の追跡・照準精度測定装置の研究

・・・ 王 建民(北京大学情報科学技術学院 量子情報・測量教育部重点実験室 准教授)

海底資源探査機の開発と応用

・・・ 三輪 哲也(独立行政法人海洋研究開発機構 海洋工学センター/先端技術研究プログラム基盤技術研究グループリーダー)

電磁波による海底資源の新しい探査法の開発

・・・ 後藤 忠徳(京都大学大学院工学研究科 准教授)

資源探査における衛星リモートセンシング技術の進歩

・・・ 三箇 智二(日鉱探開(株)地質部勤務情報地質担当部長)

日中資源探査用ロボット機の研究進展

・・・ 鄧 明聡(岡山大学工学部システム工学科 准教授)