バイオ関連トピック
トップ  > 科学技術トピック>  第57号:バイオエネルギー技術 >  バイオ関連トピック >  中国で精子タンパク質317種を発見 不妊治療に効果

中国で精子タンパク質317種を発見 不妊治療に効果

中国科技日報     2011年 6月 7日

 山東省乾細胞工程技術研究センター、煙台毓◆(王へんに黄)頂医院、煙台大学李建遠教授率いる研究チームが、10年に及ぶ研究の末、人 類の精子形成に関するタンパク質研究において重大なブレイクスルーを得た。この研究成果は、米学術定期刊行誌「Molecular & Cellular Proteomics(MCP)」2 010年11月号と12月22日付オンライン版で発表された。

 ヒトの精子の形成は、男性の生殖機能面で重要な一要素である。睾丸で作られた精子は、副睾丸というミクロ環境と副睾丸から分泌される精子タンパク質の相互作用によって形成され、受精に備える。精 子の形成不全は、男性不妊の主因の一つとなるため、精子の形成に関連するタンパク質の研究は、不妊臨床における分子診断や治療レベルの向上につながる。また、精子形成の阻害は、出 産コントロール面で避妊にも効果がある。

 李教授の研究チームは、システム工学分子生物学研究技術を導入し、健康な男性の副睾丸遺伝子発現解析に成功した上、ヒトの副睾丸と睾丸タンパク質、副 睾丸から分泌される精液中のタンパク質の遺伝子発現解析も成功し、1030種類のタンパク質抗体バンクを構築し、副睾丸と睾丸の精子タンパク質317種類(精液蛋白も含む)を鑑定・発見した。そ れらに科学システム分類通し番号をつけて命名し、国際塩基配列データベース(GenBank)に登録した。この発見は、人類が精子にあるタンパク質の潜在機能をさらに明らかにする上でのベースとなる。研 究チームは、機能に関する研究を通じ、精子の運動、卵子への進入、受精能獲得(capacitation)、抗酸化、免疫防御など各機能に関連する重要タンパク質を発見した。研 究によって構築され関連データベースは、ネット上で世界に公開され、情報・資源の共有が実現した。研究成果によって、不妊臨床の分子診断・治療レベルがかなり向上すると見られる。