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西太平洋の海洋環境放射能調査、第1次調査が終了

中国科技日報     2011年 8月 4日

 データを採集し、福島県における放射能漏れの中国海域への影響を研究するため、国家海洋局は西太平洋の海洋環境放射能調査を実施した。第1次調査は18日間にわたって行われ、調査船は7月4日に帰還した。総航程は5000海里に上る。

 今回の調査により、福島県の原子力発電所事故が西太平洋へ及ぼした影響に関するデータを初歩的に掌握することができた。これは、中国の西太平洋海洋環境放射能調査・警報体系の初歩的な確立、調査・警報能力の形成、海洋核安全調査・警報情報の適時発表などに向け、重要な意義を持つ。

 注目に値するのは、今回の調査が、福島県の原発事故が日本以東の公海海域にどれほどの放射能汚染を与えたかはっきりしない中で実施されたことだ。担当者たちは非常に大きな被ばくリスクを冒しつつサンプルを採取した。また、中国から調査海域への航路は遠く、航海期間も長く、出航はちょうど台風のシーズンと重なったために海上では一時、8~9級の強風に見舞われた。6月23日には、調査海域の近くでM7.0の地震が発生したが、隊員と船員全員が力を合わせて困難を克服し、海洋サンプルの採取業務を無事に終了した。

 今回の調査は国家海洋局により計画されたもので、調査船は6月16日にアモイを出航した。国家海洋局第三海洋研究所が筆頭となり、国家海洋局南海分局、東海分局及び国家海洋環境予報センターなどの機関が協力し、調査に関与した人数は合計40人余りに上った。調査では、中国水産科学研究院南海水産所の観測船「南峰」号が任務にあたった。研究者らは帰港後、各サンプルに対する分析と検査を行い、できるだけ早く科学データを得て、福島原発事故が近海及び中国の管轄海域に影響を及ぼしたか否かの分析・評価を行うという。