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中国開発の観測ノード、米国海底観測網との接続に成功

中国科技日報     2011年 8月17日

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 従来のレベルを超えた中国の基礎技術研究を進めることは、国家ハイテク研究発展計画(863計画)の中核的任務の一つだ。「海底長期観測網における試験用観測ノードのキーテクノロジー」は「第11次5カ年計画(2006-2010年)」期、863計画の海洋技術分野重点プロジェクトに指定された。

 海底観測網はここ10数年間で登場した海洋観測の先端技術だ。海底に光ケーブルを敷設し、そのケーブルに沿って多数の観測ポイントを設置して関連の機器設備とセンサーを搭載し、「観測ノード」を構築する。機器やセンサーが採取したデータは光ケーブルを通って陸上に伝えられ、研究者はこれらデータの分析を通じて海洋環境の観測を実現できる。

 米国時間2011年4月21日、西太平洋のモントレー湾において、中国が開発した海底観測網のコア設備を、海底観測網「Monterey Accelerated Research System(MARS)」に接続させる実験が緊迫した雰囲気の中で実施された。「中国のサブノード」の順調な接続に向け、モントレー湾水族館研究所(MBARI)は2隻の科学調査船R/V Western FlyerとR/V Point Lobosを配備して共同で海上作業にあたった。R/V Western Flyerはまず、接続箱及び物理・化学システムなどを設置した3つの架台を一つ一つ静かに水深890mの海底に沈め、うち、接続箱を設置した架台はMARSのメインノードから32mの地点に設置された。その後、R/V Point Lobosのオペレーターが水中ロボットVentanaのロボットアームを使って器用に接続箱のコネクタをMARSのメインノードに差し込み、それから物理・化学システムをそれぞれ接続箱の架台に差し込んだ。接続箱、物理・化学システムのいずれも接続され、電気が開通し、ブロードバンドでデータが流れ、画像やさまざまなデータが瞬時に転送された。現地時間21日12時9分、「中国のサブノード」が正式に稼働をスタートした。

 これにより、中国が自主開発した海底観測網設備が米国モントレー湾に設置され、米国の海底観測網「MARS」と接続して正式に稼動を開始した。これは、中国の深海観測が実質的な第一歩を踏み出したことを示している。MARSが米国以外で研究開発された接続箱などの重要なノードを使って海上試験を行ったのは今回が初めて。中国の科学技術者は「雨垂れ石をうがつ。努力すれば自然に達成できる」という自信と落ち着きにあふれ、世界の同業者にも認められた。

 米ミネソタ大学の中国人研究者、丁抗博士は知らせを聞いて感動し、「今回の試験により、中国において海底観測という先端技術が概念から現実へと変化した。これは中国の海底観測網技術にとって、正真正銘の進歩と言える」と述べた。また、「今回の試験では中国の海底観測網における重要技術の性能基準が効果的に検証され、海底観測網技術の発展及びさらなる観測網の構築のための貴重な経験となった」との見方を示した。