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ナノテクを利用した骨修復の新技術、骨の癒合能力が向上

中国科技日報     2011年12月14日

 中国科学院長春応用化学研究所が取り組む国家863計画の課題「吸収可能な電気伝導高分子ナノ複合スマートバイオマテリアルと一定方向の電気刺激誘導による組織再生」がこのほど、中 国科学技術部による専門家チームの検査に合格した。

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 骨に破損が生じると、細胞信号の伝達と力伝達の中断により、組織の再生能力が低下する。これまでの骨修復材料には、必要とされる信号伝達能力と力学性能がなかった。最新の研究で、ポ リアニリン等の導電性高分子を、新型のスマートバイオマテリアルとすることが可能であることがわかった。これにより細胞信号の伝達を実現し、成長因子や薬剤放出の機能を抑制し、組織・器 官の再生修復を一定方向に誘導することができる。ただし医用バイオマテリアルとして、導電性高分子は生物との適合性が低く、溶解度が低いことから加工が困難であり、医学的応用に影響をもたらしている。ま た導電性高分子のバイオ医学応用の研究に関して、国際的には神経・心筋組織の修復が注目を集めており、骨再生の研究は少ない。

 長春応用化学研究所の研究者は863計画の課題の支援を受け、生物の吸収可能な導電性高分子、ハイドロキシアパタイトのナノ複合材料、一定方向の電気刺激誘導による組織再生等の面から研究を行い、生 物吸収可能の導電性高分子の共重合体と電気刺激技術の結合を世界で初めて骨の修復に応用し、骨修復の電気活性スマートマテリアル、骨固定融合機器、電気刺激による骨再生増強等の新技術を開発した。材 料の細胞許容力が向上し、骨伝導性と誘導活性を持ち、骨の癒合能力と品質が向上した。