中国人科学者、逆ドップラー効果を発見
中国科技日報 2012年 1月19日
透明マントというSF小説の技術が将来的に実現され、ビックバンによる宇宙空間の膨張に新たな解説が付される可能性が出てきた。上海理工大学光学工程学科チームは屈折率がマイナスの光子結晶体から、光 波ウェーブバンドによる逆ドップラー効果を初めて発見し、最新の「ネイチャー フォトニクス」誌に同研究成果が掲載された。逆ドップラー効果を光学分野で証明したのは世界初で、天文学、医学、微 電子工業等での応用が期待される。
ドップラー効果とは、観測者と光波源の間に相対移動が存在する場合に、光波の周波数の変更が起こる現象を指す。物体の光源と観測者の距離が近づいている場合、光の周波数は高くなり色が青に変わる。逆 ならば赤に変わる。逆ドップラー効果は、光源と観測者の距離が絶えず近づいている場合、光の周波率が低くなり色が青から赤に変わる現象を指す。
逆ドップラー効果は旧ソ連の物理学者が1968年に理論的に予言していたが、実験による実証が待たれていた。上海理工大学上海市現代光学重点実験室で、荘松林院士の指導と参加の下、陳 家璧教授による科学研究チームが、自然条件下で発生し得ない逆ドップラー効果を実現させた。
研究チームはシリコンを利用した人造マイクロナノ結晶体「光子結晶体」を作成し、負の屈折率を実現した。この特殊な光子結晶体の「スーパープリズム」によりレーザービームを発射させ、レ ーザープリズムと測定器間の距離を変更することで、ドップラー効果の逆転現象に成功した。また同実験により最終的に得られた光子結晶体プリズムの、ミクロンスケール・エッチングの高アスペクト比は25:1 となった。これは直径が髪の毛の35分の1、長さが50ミクロンの、細さの均一なシリコン媒質の円柱を1億本整列させて、シリコンチップ上に刻むことを意味している。
逆ドップラー効果は、透明マント等の技術の将来的な発展を促し、空想が現実に変わるスピードは人々の想像を上回ることだろう。