ナノ医薬品、アルツハイマー病の特効薬に期待
2014年 4月28日 単谷(中国総合研究交流センターフェロー)
上海交通大学薬理学・化学生物学部の研究者は、世界生物医学界に先駆けて生物工学リポタンパク質ナノ医薬品を開発した。この薬剤は脳内のアミロイドβタンパクという発病物質の沈殿を減らし、ア ルツハイマー病の進行を遅らせることができる。同薬剤は高効率の薬物担体でもあり、特にアルツハイマー病の長期的かつ多様な治療に適しており、転化応用の見通しは明るい。
アルツハイマー病は最も良く見られる高齢者痴呆症だが、臨床の上では効果的な治療手段が存在しない。これまでの研究により、アルツハイマー病を引き起こす重要な物質が、ア ミロイドβタンパクであることが分かっている。いかに脳内のアミロイドβタンパクを減らし、早期治療を行うかが、世界のバイオ医薬界の共通の課題となっている。
上海交通大学の研究者は、天然の高密度リポタンパク質の模倣に成功し、血液脳関門を通過可能な、アミロイドβタンパクとの親和性の高い特徴を持つ生物工学リポタンパク質ナノ医薬品を開発した。同 薬剤は脳内のミクログリア細胞、大グリア細胞、外周幹細胞を通じアミロイドβタンパクを摂取・削減し、脳内のアミロイドβタンパクの除去を効果的に促す。
研究者によると、中枢の安定性を維持するため、人体の脳血管内皮細胞の間には血液脳関門が密に形成されている。98%以上の低分子量医薬、100%の多分子量医薬は、大 脳に入り薬効を発揮することはできない。生物工学ナノ医薬品は、人体内の高密度リポタンパク質を模倣しており、血液脳関門を順調に通過し、脳に薬効を発揮する。また実験によると、同医薬の使用により、ア ルツハイマー病にかかったラットの認知機能が大幅に改善された。