山東大学結晶材料実験室、光触媒の研究で重要な進展
2014年 4月28日 単谷(中国総合研究交流センターフェロー)
山東大学結晶材料国家重点実験室はこのほど、二酸化チタンナノベルトの表面へテロ構造の設計・合成および光触媒特性の研究面で重要な進展を果たした。同研究の成果は著名な学術誌、Advanced Materials誌に掲載された。
二酸化チタンナノベルトは量産化しやすいナノベルト材料で、光触媒分野で重要な応用の可能性を持つ。これを基板材料とし、表面に可視光触媒活性を有する第2段階ナノ粒子を取り付け、二酸化チタンナノベルトの表面へテロ構造を形成することで、紫外・可視光の異なる波長域に対応する光触媒活性を取得、ワイドバンドギャップ光触媒を実現できるだけでなく、2相間のへテロ構造の界面エネルギー準位変調作用により効果的に光生成キャリアの分離を促進し、光触媒効率を高めることができる。同構造は、太陽光フルスペクトルの高効率光触媒に向け、全く新しいソリューションを提供した。
同実験室の研究者は、二酸化チタンナノベルトの表面に可視光触媒作用を持つセリウム酸化物ナノ粒子とMoS2ナノシートを取り付け、二酸化チタンナノベルトの表面へテロ構造を形成した。結果、複合触媒の紫外・可視光の光触媒性能がいずれも単一の光触媒を上回り、ワイドバンドギャップの効率的な光触媒を実現した。さらに、同実験室が発見した、可視・近赤外光触媒活性を持つビスマスタングステン酸ナノシートを二酸化チタンナノベルト表面に取り付けることで、紫外・可視・近赤外光の光触媒を初めて実現した。これは太陽光駆動型の光触媒分解に向け、重要な設計構想と材料の基礎を提供した。
ナノテク分野の論文誌、Small誌はこのほど掲載した同研究に対する評論の中で、「二酸化チタンナノベルトの表面へテロ構造は、太陽光のワイドバンドギャップ光触媒の設計と作製に重要な手段を提供した」と指摘した。