中国環境保護部 環境基準違反企業への取締りを強化
2014年 6月27日 金 振(中国総合研究交流センター フェロー)
6月11日、中国環境保護部および国家発展改革委員会は連名で、脱硫設備の報告・運用義務違反に関する処分決定を発表した(環境保護部・国家発展改革委員会2014年公告第43号)。今回の処分決定は、汚染物質総量規制目標の達成状況について実施した2013年度監査結果に基づくものであり、内陸部に立地する19の事業者が処分対象となった。
脱硫設備の運転データに関する虚偽記載が主な違反事実として挙げられ、脱硫設備の稼働率の水増し報告や除去率の改ざん等がその典型例である。稼働率の水増し報告事例では、実際には10%しかない稼働率を合格ラインでの90%以上と計上した違反事例もある。
設備運転データの改ざんは、環境負担金の納付義務の不正回避問題や脱硫設備の運転に関する補助金の不正取得問題を引き起こす。環境負担金とは、事業者が自ら排出する汚染物質の排出量に応じて納付する負担金のことであり、間接的な環境税として位置づけることができる。汚染物質の排出量に関するデータは脱硫設備によって提供される。したがって脱硫設備の稼働時間が短いほど見た目上の汚染物質の排出量は減ることになり、稼働率データの改ざんは結果的に、環境負担金の不正回避につながる。
いま一つの問題は、脱硫設備の運転に関する補助金の不正取得である。発電事業者の場合、脱硫設備の設置・運営費の一部を売電価格に転嫁できる補助金制度が適用される。補助金額は稼動時間によって計算されるため、稼働率データの改ざんは補助金の不正取得につながる。
違反企業には、違反事実の公表、企業を所管する環境監督庁への取締強化の勧告、業務改善期間の指定ならびに関連計画の提出、罰金の賦課、環境負担金の追納、不正取得金の返還など、厳しい措置がまっている。