第113号
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中国の地質環境について

2016年 2月23日 (中国総合研究交流センター編集部)

解説:

 中国国土資源部は2015年6月、地質環境に関して次のような最新のデータおよびレビューを公開した。これにより中国の地質災害、鉱山地質環境の現状を把握することができる。

 大衆の権益を全力で守ることを根本的な出発点・立脚点とし、地質災害の防止と鉱山地質環境のコントロールを十分に行い、地質環境の保護とコントロールを全面的に推進し、エコ文明建設に積極的に寄与する。

地質災害とその防止

 2014年、全国で発生した各種地質災害は1万907件に達し、そのうち地すべりは8128件、山崩れは1872件、土石流は543件、地面陥没は302件、地割れは51件、地盤沈下は11件だった。これによる死者は349人、行方不明者は51人、負傷者は218人で、直接経済損失は54億1千万元に達した。前年と比べると、地質災害の発生件数や死者・行方不明者数、直接経済損失はいずれも減少し、それぞれ29.2%減、40.2%減、46.7%減だった。

図1

(地質災害による死亡・行方不明者数と直接経済損失の状況)

 上海と天津を除く29省(自治区・直轄市含む)ではいずれも地質災害が起こっており、主な発生地域としては、湖南省や重慶市、四川省、貴州省、雲南省、湖北省などが挙げられる。

図2

(全国地質災害ポイント分布図)

 地質災害防止事業の改革を深め、特大・重大地質災害の防止管理体制を革新した。地質災害防止の重点省は地域別に支援し、その他の省はプロジェクト別に支援する中央財政の新たなメカニズムが形成された。中央政府は、特大地質災害防止の特別プロジェクト資金として年間50億元を投じ、地質災害417件の予報に成功し、3万3723人の死傷と18億1千万元の直接経済損失を回避することができた。

図3

(地質災害予報成功件数と死傷者回避人数)

 4月22日のアースデーや5月12日の防災減災デーの広報週間などの活動を利用し、地質災害防止の宣伝に努め、公衆の防災・減災意識の向上をはかった。地質災害の緊急対応の制度とプロセスを一段と改善し、参加者総計228万人余りを数える2万4千回以上の応急演習を展開し、すでに比較的整った応急演習体系が形成された。部門間の協力や地域協力を大きく推進し、長江デルタや華北平原エリア、汾渭盆地など重点地区のある10省(市)と共同防止・制御の合意を締結し、省級の地盤沈下防止計画を編成し、地下水採取の制限・禁止措置の有効な実施を推進し、地盤沈下の傾向は全国的に有効に抑えられた。

鉱山地質環境の回復とコントロール

 全鉱山地質環境制御事業の監督管理を全面的に強化し、プロジェクトに対する現場での調査や監督、検査を組織し、鉱山地質環境の回復・制御モデルプロジェクトの各地方による展開の支援を引き続き強化した。2014年に鉱山環境制御に投じられた資金は92億1700万元で、そのうち中央財政資金は17億2800万元だった。

図4

(鉱山地質環境制御への投入資金の変化)


出典:中華人民共和国国土資源部 http://www.mlr.gov.cn/sjpd/gtzygb/2014/201506/t20150617_1354796.htm