第118号
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エネルギーインターネット情勢における電力ビッグデータの発展動向(その2)

2016年 7月28日

李棟華:北京南瑞埃森哲信息技術中心有限公司

主な研究テーマは企業情報システム、モノのインターネット、ビッグデータ、モバイルインターネット等。

耿世奇:北京南瑞埃森哲信息技術中心有限公司

主な研究テーマは電力システムの情報化

鄭建:北京南瑞埃森哲信息技術中心有限公司 エンジニア

長年にわたりビッグデータ技術研究および情報システム設計に従事する。

その1よりつづき)

1.3 エネルギービッグデータ保存および管理技術

 スマートグリッドビッグデータ保存および管理技術は、スマートグリッド向けの構造化、非構造化、過去/準リアルタイム、電力網地理データの保存サービスを提供している。

 ビッグデータ保存および管理機能のインフラは、リソース抽象化、リソース制御、リソースサービスを提供し、最下層リソースを統一的に管理し、統一の管理インターフェースを提供し、上 層アプリケーションに向けてダイナミックで伸縮自在、仮想化可能なコンピューティング能力、保存能力、交付能力を提供する。ストレージ構造に分散型システム構造を導入し、ハ イスループットの大規模データ保存を支援し、ストレージシステムのフォールトトレランスとユーザビリティを高める。

 ビッグデータ保存および管理技術において、ビッグデータ一体機などの物理層ストレージ管理技術を選択でき、最下層ハードウェアと支援ソフトウェアの統合に対応するとともに、クラスター管理、ホ ットスポットデータアクセス、クラスタータスクスケジューリング、データインデックス、アクセスI/O最適化、リモートコピーなどについて高度な最適化を行った。

 各類型のスマートグリッドの動作、分析データを踏まえ、適切なデータ分析処理プランを採用する。非構造化データは、分散型構造に基づき、既存のディスクアレイストレージ方式に代替し、低コスト、高 効率の大量データストレージを実現し、拡張性を強化する。

1.4 高性能な計算および分析、マイニング技術

 スマートグリッドリアルタイム計算、大量データ分析、マイニングなどのさまざまなアプリケーションのニーズを踏まえ、ス マートグリッドエネルギー公共サービスプラットフォームの高性能コンピューティングおよび分析マイニング機能を構築し、インタラクティブ分析、意思決定リファレンス、傾向予測、価値発掘の4大能力を取得し、ス マートグリッドビジネスニーズにサービス支援を提供する。

 高性能コンピューティング技術に関して、コンピューティング、データのローカル化の原則を遵守し、MPI、OpenMP、Map/Reduceなどの並行計算の枠組を構築し、エ ネルギー公共サービスに高性能コンピューティングのサポートを提供する。莫大な連続データフロー処理ビジネスを対象としてフロー計算プラットフォームを提供し、多 種類のデータソースリアルタイムデータフローについて、抽出、ろ過、分析を行い、分散型の水平拡張能力を提供し、計算プロセスの高信頼性を保障する。

 ビッグデータ分析、マイニングにおいて、統一的で、標準化されたデータマイニングプラットフォームを構築し、ビジネス部門を跨ぐデータの共有、抽出ツール、データ分析、マ イニング研究に必要なデータのツールベースを提供し、データの科学者、関連ビジネス職員の大量データ分析に便宜を提供する。エネルギー公共サービスデータマイニングは、統計、オンライン分析処理、情報検索、機 器学習、専門家システム、モード識別などさまざまな方法によりデータマイニング目標を実現する。

1.5 エネルギー公共サービス技術

 エネルギー公共サービスプラットフォームは、プラットフォームバスに基づき、アプリケーションの情報インタラクションに支援を提供し、クラウドコンピューティング技術を通じて、ア プリケーションコラボレーションを支援し、アプリケーションのサービスのトランスペアレント化により、ビジネスインタラクションを力強くサポートする。

 エネルギー公共サービス技術は、トータルサービスバスに基づく統一的なサービスプラットフォームを提供し、標準的な疎結合モデルに基づき、信頼性があり、高効率なデータ伝送、ア プリケーション間のメッセージ伝達機能を実現し、システムの拡張性、容易な管理性、容易な監視性を高め、ソフトウェアのオンラインアップデート、柔軟なデプロイを実現する。

 統一サービスプラットフォームは、データ交換に必要な最下層通信技術、アプリケーション処理の具体的な方法を遮断し、伝送に関してアプリケーションのリクエスト情報、応答結果情報の伝送を支援する。統 一サービスプラットフォームはサービス化されたソフトウェア交付機能を提供し、アプリケーションのダイナミックデプロイを支援しなければならない。

1.6 ビッグデータ分析、マイニングプラットフォームおよびディスプレイツール

 社会のビッグデータの価値に対する認識が高まるのに伴い、各種の大手IT会社は購入や自主制作により、相次ぎ自己のビッグデータ分析、マイニングプラットフォームをリリースした。2013年、I BMは17億米ドルでデータ分析会社Netezza社の買収を発表、EMCはデータベースソフトウェアメーカーGreenplum社の買収後、さらにクラスターNASメーカーIsilon社を買収した。T eradataはAsterData社を買収した。その後、HPはリアルタイム分析プラットフォームVertica社などを買収した。各種の商用化されたデータ分析ツールに比べて、h adoopはオープンソースのビッグデータプラットフォームとして最も輝かしく、現時点でEMC、IBM、Informatica、Microsoft、Oracleなど多くの著名企業から大きな支持を得た。& amp; amp; amp; amp; amp; amp; lt; /p>

 ビッグデータのディスプレイに関して、SPSSは世界で最も早く図形メニューによるスクリーン駆動を行う統計ソフトウェアを採用し、その傑出した特徴のひとつは操作画面が極めて使いやすく、出 力結果の美観にこだわっている点である。SPSSは、EXCEL表に似た方式でデータの入力と管理を行う。データインターフェースは汎用的で、他のデータベースからデータを読み取ることができる。統 計プロセスは常用的で、比較的成熟した統計プロセスが含まれており、統計ビジネスの基本的なニーズを完全に満たせる。

 SPSSに比べて、Tableauの特徴は、ドラッグ&ドロップ(drag&drop)によりデータを分析し、データをクリックすれば可視化され、イ ンタラクション型の分析画像を高速で作成できる。データの演算、美しい図表が見事に結合させており、プログラムは馴染みやすく、画面上のデータも操作しやすくなった。

1.7 エネルギーアプリケーション支援技術

 エネルギーアプリケーション支援技術は、エネルギー公共サービスプラットフォームと上層アプリケーション間の仲介役で、ア プリケーションのニーズを踏まえて上層アプリケーションを支援する各種のアプリケーションシステムによりよく適合する。

 データモデルの構築を通じて、ビジネス分析タスクに必要なデータを構築し、ビジネス規則の管理を通じて、ビジネスロジック分析を複数のコンピューター処理タスクに分解し、コ グニティブコンピューティングを通じて、人のタスクをコンピューターのタスクとして分析、識別、分解、マッチングさせ、人、機械、自然のシームレスなインタラクションを実現する。データ共有サービスを通じて、上 層アプリケーションに統一的なデータ支援を提供し、データフロー分析により基本的なデータ分析インターフェースを提供し、デ ータのマンマシンディスプレイにより対外的にデータ図形ディスプレイ研究開発のツールを提供する。プラットフォームバスに基づき、アプリケーションの情報インタラクションを支援し、ク ラウドコンピューティング技術を通じて、アプリケーションコラボレーションを支援するほか、アプリケーションのサービストランスペアレント化により、ビジネスインタラクションに力強い支援を提供する。

その3へつづく)

※本稿は李棟華;耿世奇;鄭建「能源互聯網形勢下的電力大数拠発展趨勢」(『現代電力』第32卷第5期、2016年10月,pp.10-14)を『現代電力』編集部の許可を得て日本語訳・転 載したものである。
記事提供:同方知網(北京)技術有限公司