第145号
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鉱物・金属加工の自動化の現状と将来の発展傾向の分析

2018年10月31日

王 啓明: 安徽馬鋼羅河鉱業有限責任公司

解放軍電子工程学院/江西理工大学。選鉱エンジニア。
研究分野:選鉱および自動化。

概要

中国では科学技術と経済の発展により、従来型の鉱物や金属加工技術では現代社会の飛躍的に進んだニーズを満たすことができなくなったため、企業が市場競争力を高める上で鉱物や金属加工の自動化技術がその重要な方法となった。本稿では中国の鉱物・金属加工の自動化の現状について分析と研究を行い、解決方法を提示する。

[キーワード]:鉱物、金属、加工の自動化

 鉱物・金属加工企業においては、従来型の操作モデルではもはや現在の国際市場のニーズを満たすことができず、自動化の導入が業界の必然の流れとなってきている。しかし、鉱物・金属加工の自動化は、中国の加工企業にとって、いまだ模索の段階にある上に、コストや資源配分等の多くの問題が依然として未解決であり、企業は実践と学習の中から問題を見出し、解決を急ぐ必要がある。

1 鉱物・金属加工における自動化の意義ならびに役割

 中国の鉱物・金属加工企業数は増加の一途をたどっている。加工企業の規模には大小の違いはあるが、自動化の導入は鉱物加工業全体にとって、重要な意義を持っている。自動化の導入を通じて、コンピュータや電子機器等の設備により、効果的に大量の労働力に替えることができ、資源配分の最適化が保証され、労働者の安全係数も大幅に向上する。鉱物・金属加工における自動化の意義は生産効率の向上にもあり、大量の電子化・自動化設備を使用することで、加工をより効果的におこなうことができ、加工周期全体の大幅な短縮が可能となる。

2 中国における鉱物・金属加工の自動化の現状

 近年、中国の鉱物・金属加工業では、全体の経済効率に一定の下降が見られているが、これは加工技術の先進性の不足と管理モデルの非合理性によるものである。現在、中国の鉱物・金属加工の自動化に関する多くの問題については、いずれも以下の問題が生じている。

2.1 従業員の資質の低さ

 中国では鉱物・金属加工企業のほとんどに共通して、オペレーターや管理者の資質が低い。特に規模の小さい企業では、コスト節約のために、専門的資質の低い労働者に鉱物・金属加工の自動化業務を行わせているため、オペレーターが加工プロセスにおける先進的な技術や管理を充分に生かせず、自動化が進展せず、企業の事業効率に悪影響を及ぼしている。

 また、自動化に関する専門知識の不足から、オペレーターの一部は、鉱物・金属加工において従来の操作フローや管理モデルに基づいて加工作業を続け、コンピュータを使った技術や指令を必要とする操作プロセスを重視しない。このため、プロセス全体においてシステムの円滑性に問題が生じ、加工自動化における調和のとれた運用に悪影響を及ぼしている。

2.2 鉱物・金属加工の自動化技術の遅れ

 鉱物・金属加工業で自動化をおこなった企業の一部では、数年前の自動化技術を使い続け、市場のニーズや業界の技術改良に伴った調整を行っていないため、現時点での全加工プロセスに適合せず、製品全体の生産周期に遅れを発生させている。

 鉱物・金属加工の自動化技術は、加工プロセス全体を貫くものであるため一旦、その時点での市場経済の発展に技術がついていけないと生産量を増やせないだけでなく、労働効率も経済効率も大幅に下がり、生産効率が低下するために、企業はその業界での市場競争力を失ってしまう。このため、企業は鉱物・金属加工の自動化技術を更新し続け、絶えず技術改良・技術刷新をおこなうことを前提として生産効率と資源配分を増やし、今後の市場競争力の面で一定の地位を保てるようにする必要がある。

2.3 鉱物・金属加工の自動化における管理制度の未整備

 中国の鉱物・金属加工企業の大多数は、往々にして資金投入と設備の先進性ばかりを重視し、自動化の管理をおろそかにしている。鉱物・金属加工の自動化プロセスにおいては、管理制度が整備されていないと作業全体の進捗に直接的に影響が及ぶ。このため、各々の企業の特徴に応じて、科学的かつ合理的な一連の管理制度を定め、企業の健康的かつ安定的な発展を保証する必要がある。

3 鉱物・金属加工の自動化における今後の発展傾向

 先進国における鉱物・金属加工の自動化の発展傾向を参考にすると、中国における今後の自動化の発展には主に以下の点が必要である。

3.1 資源配分のシミュレーション

 先進的なIT技術により資源配分のシミュレーションをおこなった上で、企業が加工の自動化をおこなう際に必要となる労働力や材料ならびに関連コストの疑似配分を行い、併せて、その分野に特化したインターネットデータを利用して比較と分析をおこなうことにより、企業に業界内でデータを共有させ、ウィンウィンを実現させる。資源配分のシミュレーションは中国内外の先進的事例をベースに構築されるものであるため、鉱物・金属加工の自動化の設計やラボデータに一定の根拠とサポートを提供し、資源配分プロセス全体の効率性と精度を高め、資金の合理的な運用と効率的な生産・運営も保証する。

3.2 スマート加工技術

 鉱物・金属加工の自動化オペレーションにおいて、企業はスマート化やその専門性を通じ、専門的なHCI(Human Computer Interaction)によるスマート加工技術を共同で開発することができる。鉱物・金属加工プロセスでは、加工設備の全自動化が実現できるだけでなく、操作プロセスで生じた制御不能要素を総合的に分析・比較することによって、HCIによるスマート加工技術で、自己学習と自律的な問題修正力の実現が可能となり、改良を続けることでスマート化加工技術を成熟させ、また安定させることができる。スマート加工システムの制御においては、各企業の技術的特徴に基づいて専門の制御チームを設立し、鉱物・金属加工の自動化プロセスにおけるスマート化加工の制御と記録を随時実施し、記録に基づいて定期的な変動データモデルを構築することにより、企業のスマート加工技術をさらに成熟させる。

3.3 鉱物・金属加工の自動化における環境指標の向上

 グリーン経済が地球規模で叫ばれている大きな流れの中で、鉱物・金属加工の自動化における企業のオペレーションも断固としてグリーン化を進めることが求められている。特に鉱物・金属加工業では、生産プロセスで生じる排気や排水等の汚染源が非常に大きいことから、これらの汚染源を適切に処理することが特に重要である。鉱物・金属加工の自動化の改革が進む中で、将来的にグリーン経済分野における支出の形式にのっとり、生産と販売をおこなうのは必然である。効果的な排出削減を通して、中国全体の持続可能な発展のレベルを向上させ、鉱物・金属加工のグリーン化の流れを、中国の今後の加工業発展における必然の方向性とする。

4 おわりに

 中国では、鉱物・金属加工の自動化が企業の生産効率や労働力の合理的な配分をおこなう能力に直接的に影響を及ぼし、特に資源の合理的配分に重要な役割を果たす。しかし現段階では、中国における鉱物・金属加工の自動化はまだ初歩的な段階にあり、依然として多くの課題や障害が存在するが、それらを克服、解決し、企業の長期的かつ安定的な発展という目的を果たさなければならない。また、国家レベルで関連法を整備し、秩序をもって自動化が進められることを保証する必要がある。着実な改革と革新を通して、中国の鉱物・金属加工の自動化におけるオペレーション効率が向上し、海外でも中国が一定の優位性と市場競争力を持つことを保証することとなる。

参考文献:

[1] 鄭洪霞. 基于支持向量機算法的金属加工計算機自動化調控切換技術 [J]. 世界有色金属,2016(09):120+122.

※本稿は王啓明「鉱物和金属加工自動化現状及未来発展趨勢分析」(『世界有色金属』2018年16期、pp.52-54)を『世界有色金属』編集部の許可を得て日本語訳・転載したものである。記事提供:同方知網(北京)技術有限公司