2009年07月27日-07月31日
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新型の太陽熱集熱・乾燥器の開発に成功

2009年07月28日

 揚州大学は24日、同大学で開発された中国初の真空板ガラスを使った太陽熱集熱・乾燥器がこのほど完成し、特許を獲得したと明らかにした。これにより、農 業副産物の乾燥において汚染物資ゼロ排出のエコ加工が実現することになる。「科技日報」が28日に伝えた。

 開発を担当した張瑞宏教授によると、同装置の最大のメリットは、これまでの同心円状真空集熱パイプではなく、真空板ガラスを使って太陽熱を集熱するところだ。このほか、真空乾燥装置が設置されており、太 陽エネルギーを十分に利用して乾燥製品を作ることが出来る。

 200平方メートルの真空ガラス板を三角形の集熱ボックスの中に置き、太陽熱の集熱群を作ると、太陽エネルギーの利用率は30%以上高まり、受光面積1平方メートルあたりが提供できる加熱効率は67%ア ップする。しかもコストは元の60%ですむという。

 実験によると、同装置は1年間で24万キロワット時の太陽エネルギーを吸収できる。熱エネルギーの利用率を70%として計算すると、400トンの野菜を乾燥させることができる。同 量の野菜を乾燥させるには石炭だと200トン必要だ。

 現在、国内市場に出回っている石炭や電気などを使った乾燥装置は、再生不能なエネルギーを大量に使う必要がある。05年に行われた乾燥製品関連の調査によると、中 国では毎年700万トンの乾燥野菜を生産しており、野生もしくは人工栽培の薬草は1000万トン以上にのぼる。今回完成した太陽熱集熱・乾燥器を使えば、乾 燥製品1トン当たり0.5トンの石炭を節約することが出来る。一年間では石炭850万トン、人民元換算で51億元の節約となり、野菜、牧草、ナツメ、ブドウなど、農産物の乾燥コストが大幅に下げられる。

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