2010年07月12日-07月16日
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中国の北極観測チーム ベーリング海での調査をスタート

2010年07月13日

 極地観測船「雪竜」に乗った中国第4次北極科学観測隊の一行は、10日間の航海を経て、現地時間10日午後5時ごろにベーリング海の1カ所目となる海洋調査作業地点に到着、今回の北極調査をスタートした。「科技日報」が13日に伝えた。

 強い温帯低気圧の影響により、ベーリング海は激しい波に見舞われており、停泊中の「雪竜」も海の中で上下左右に大きく揺れた。

 このような悪環境の中、観測隊の隊員らは厚い防寒服を着、安全帽をかぶり、突き刺さるような海風にも負けず、重さ200キロ以上に上る「CTD」機器を海中に沈めた。「CTD」は、海水の温度、塩度(電導度)、圧力、溶解酸素量を測量するための大型自動記録システムで、10リットルの採水ビン24本が設置されており、一定の深度にまでもぐると、採水ビンが自動的に開いて海水サンプルを採集する仕組みになっている。また、異なる深度の海水におけるそれぞれの指標をリアルタイムで実験室のパソコン内に表示することもできる。

 同日夜は2カ所の作業地点で観測が行われた。2つめの作業地点では、波の高さが3メートル以上になり、船酔いする隊員が続出した。

 今回の観測チームの首席科学者である余興光氏は、「今後10日間で、観測チームはベーリング海の作業地点48カ所を周り、一つ一つ調査していく。その後は、ベーリング海峡、チュクチ海、カナダ海盆などで調査を行い、126カ所の調査ポイントで海洋物理、化学、生物、地質などの面から総合観測、サンプル収集を行っていく」と述べた。

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