2010年12月27日-12月31日
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中国、第3世代の自動車用鋼板で世界をリード

2010年12月31日

 中国科学技術部の国家重要基礎研究開発計画(973計画)を追い風として、中国鋼研科学技術集団公司(以下、中国鋼研究)と太原鋼鉄公司はこのほど、第3世代の自動車用熱延帯鋼および冷延鋼の工業生産工程における開発に成功した。これにより、中国は世界に先駆け、第3世代の自動車用鋼材製品に関する工業生産技術の開発にこぎ着けた。人民網が31日伝えた。

 自動車の軽量化や衝突安全性に対するニーズが高まるにつれ、自動車用鋼板は強度や塑性が向上している。現在、自動車には高強度鋼板が多く用いられているが、強度の向上に伴って塑性が低下するこの種の鋼板は、第1世代の自動車用鋼板に属する。鋼材製品のうち自動車用鋼板はハイエンド製品に当たるほか、国の鋼鉄工業の技術水準を測る重要な目安でもあることから、その開発は世界各国で非常に重要視されている。2007年、米国が2世代の自動車用鋼板の強度・塑性・コストを兼ね備えた、第3世代の自動車用鋼板の開発に乗り出すと、それを皮切りに、各国も相次いで開発に着手した。中国鋼研の研究チームは世界の自動車用鋼板の研究動向を察知し、長年の鋼材技術研究を基礎として、2009年から実験室で高強度と高塑性を備える第3世代の自動車用鋼板の開発を開始。その結果、引っ張り強度(張力)が第1世代の4倍に当たる30ギガパスカル(GPa)以上の自動車用鋼板を完成させ、当時の世界最高を更新した。

 第3世代の自動車用鋼板が応用されれば、自動車の重量が大幅に軽減され、衝突安全性の向上につながる、と専門家は指摘する。中国鋼研のこの成果は、自動車用鋼板技術を国外から学ぶ一方だった受身の状況を根本から覆し、自動車技術のイノベーションを次の段階に進めるとともに、鋼鉄企業の技術・製品のグレードアップや世代交代を促すことで、鋼鉄大国から鋼鉄強国への飛躍を技術面から後押しするものだという。

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