2011年04月11日-04月15日
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気候の変化により、中国の食糧生産地域に構造的な変化

2011年04月15日

 国家社会科学基金プロジェクト「温暖化が中国の食糧安全に及ぼす影響及び対策研究」のプロジェクト責任者である、華中農業大学の王丹・農業管理博士によると、過去30年間の研究・モニタリングにより、中国北部では降水量がやや増えたが、南部では減少したことが明らかとなった。また、水稲、小麦、トウモロコシの主産地の気温は軒並み上昇傾向にあるが、日照時間は逆に減っているという。これらの気候の変化に伴い、水稲・小麦などの食糧生産地域に構造的な変化が現れている。新華網が14日に伝えた。

 王丹博士によると、気温の上昇と、降水帯の北への移動により、水稲生産地域に変化が見られているという。例えば黒竜江省では、もみ生産量が1979年には100万トンに満たなかったが、2007年には1500万トンに増加した。一方、古来より「魚米の郷(作物が豊富に取れる場所)」と呼ばれる浙江省では、もみ生産量が1979年には1300万トンだったが、2007年には600万トン余りに減少している。

 歴史的に、中国における食糧生産地区の構造は、秦嶺?淮河線を境に南側が水稲、北側が小麦の生産地とされてきた。また、干ばつ、低気温に見舞われる北方地域と、南方の一部の丘陵地帯ではトウモロコシの生産が行われてきた。王丹博士は「気候の変化が食糧生産に与える影響は今後も継続する。時間の推移に伴い、この影響はさらに深刻化するだろう」と述べる。

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