2011年05月09日-05月13日
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H9N2鳥インフルエンザウイルスとH1N1インフルエンザウイルスは遺伝子再集合を起こしやすい

2011年05月12日

 中国農業大学動物医学院劉金華教授らの課題チームは、最新の研究から、H9N2型鳥インフルエンザウイルスとH1N1型インフルエンザウイルスは遺伝子再集合を起こしやすく、し かも一部の再集合ウイルスは殺傷力が著しく高くなると報告した。彼らの研究成果は今月出版のPNAS(『米国科学アカデミー紀要』)に発表されている。
 論文の筆頭著者は農業部人獣共通感染症重点研究室の孫怡朋博士、責任著者は劉金華教授である。論文によれば、2009年に爆発的に発生したブタ由来のインフルエンザウイルス(H1N1/2009)は、瞬 く間に世界中に拡がり、人類に深刻な脅威をもたらした。再集合は交雑ともいい、インフルエンザウイルスの進化の主な方式の一つだが、歴史上インフルエンザが何度も流行したのは、す べてウイルス再集合の結果であるという。
 劉金華教授によれば、H9N2亜型インフルエンザウイルスは家禽における主要なインフルエンザウイルス亜型で、多くの報告がH9N2鳥インフルエンザウイルスは種間にまたがって感染し、ブ タとヒトに伝染することができることを実証しており、他方、H1N1ウイルスはすでにヒト群の中で持続的に流行し、しかもすでにブタ群にも存在している。したがって、こ の2種類の亜型ウイルスには自然界で再集合を起こすチャンスがいくらでもある。
 課題チームはリバースジェネティクス法とマウスモデルを利用して、H1N1ウイルスとH9N2鳥インフルエンザの再集合性について研究を展開した。彼らは、こ の2種類のウイルスは遺伝子再集合をきわめて起こしやすいこと、再集合ウイルスはマウスに感染しやすく、しかも一部の再集合ウイルスは両方の親ウイルスに比べ、病原性が著しく高くなることを発見した。強 毒性の再集合ウイルスのゲノムに対する分析を通じて、すべての強毒性ウイルスのPA遺伝子はH1N1インフルエンザウイルスに由来していることがわかった。
 この研究成果は、将来のインフルエンザウイルスの予防・制御のために、重要な理論的参考情報を提供している。研究結果が示しているように、インフルエンザの監視制御においては、新型の再集合ウイルス、特 にH1N1由来のPA遺伝子を持つ再集合ウイルスの発生を重視しなければならない。

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