2011年05月23日-05月27日
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三峡ダム設計者「三峡ダムがなければ干ばつはさらにひどく」

2011年05月26日

 今年に入り長江中下流域は50年に1度の深刻な干ばつに見舞われ、湖北省、湖南省、江西省、安徽省で次々に水が不足している。干ばつを前に、人々は長江上流の「水瓶」である三峡ダムに注目している。新華社が25日付で伝えた。

 「三峡干ばつ誘発説」を支持する証拠は現在のところない、と気象、地質、水利の専門家らは言う。

 「長江三峡水利枢軸環境影響報告書」は三峡ダム建設後の気候問題について科学的分析を行い、ダム区および近隣区の温度、湿度、風および霧への影響範囲は通常10キロ以内との基本的結論を導き出している。

 ■一度の異常気象で三峡プロジェクトを責めることはできない

 三峡プロジェクトの中心的設計者で長江水利委員会のチーフエンジニア、中国工程院院士の鄭守仁氏は「三峡干ばつ誘発説」について、「一度の異常気象に遭ったからといって、三峡プロジェクトを責めることはできない。その正反対に、もし三峡プロジェクトがなければ、長江中下流域の干ばつはもっとひどくなっていただろう」と指摘する。

 鄭氏によると、三峡ダムは毎年長江の増水期に貯水を始め、続く渇水期に中下流域に水を放出する設計になっている。「今年1月から現在までの三峡ダムの放出量は長江の自然流水量よりも多い。特に下流域で深刻な干ばつが起きた際、ダムは毎秒8000-1万立方メートルの放出を行った。これは自然水量を毎秒2000立方メートル以上上回る」。

 今年1月から現在までの記録では、三峡ダムの水位は最高時の175メートルから24日の152.7メートルにまで下がっている。この約173億立方メートルの水は、すでに中下流域へ放水されたという。

 三峡ダムは5月20日に国家洪水・干害防止総指揮部の指示で放水量を増やして以来、1日平均3億立方メートル余りの水を干ばつに苦しむ中下流域に届けている。現在中下流域の水位は明らかに回復へ向かっている。

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