2011年06月20日-06月24日
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スマートテレビ 7つの疑問

2011年06月20日

 テレビは現在、ほとんどの家庭にある。スマートテレビは、これまでのテレビの概念を機能面で覆し、家庭に新たなエンターテインメントをもたらそうとしている。今年はスマートテレビ元年とも呼ばれるが、スマートテレビはまだ完全に市場に浸透しておらず、消費者の中には昔のテレビの方が慣れていてよいという声もあるのが実情だ。消費者はスマートテレビに対して、未だ多くの疑問を抱いている。国際金融報が伝えた。

 一、一体どんなテレビを「スマートテレビ」と呼ぶのか?

 今年4月、サムスン「Smart TV」を代表とするスマートテレビが次々と発売された。ところが消費者の多くはスマートテレビの概念をあまり理解できていない。その理由は、スマートテレビが登場から日が浅いことに加え、各メーカーの定義もまちまちで統一規格がないためだ。世界で率先してスマートテレビを打ち出したサムスンは、スマートテレビをこのように定義している。「インターネットに常時接続し、映像・音楽配信サイトからストリーミングでオンデマンドにてコンテンツを利用できる、新世代のテレビ」。そしてこれは「テレビ+パソコン」でも「テレビ+インターネット」でもないという。サムスンは、スマートテレビは生活に密着し、利便性を向上できるものだと考えている。

 二、スマートテレビとインターネットテレビの違いは?

 スマートテレビとインターネットテレビには本質的な違いがある。インターネットテレビは、テレビをインターネットに接続するもので、デジタルテレビの一種だ。一方のスマートテレビは操作システムを持ち、テレビ本体にデータ処理専門のICチップが内蔵されており、オープンプラットフォームやアプリケーションをダウンロードすることができる。この点では、スマートテレビはスマートフォンとよく似ている。

 また別の観点から見ると、インターネットテレビはコンテンツ型であるのに対し、スマートテレビは機能的で、コンテンツだけでなく、アプリケーションなど多機能を有する。

 三、スマートテレビの実用性は?

 スマートテレビは実用性を目指して開発された。サムスンの「Smart TV」では、全機能が「スマートハブ」と呼ばれるひとつの操作画面に集中しており、使いたい機能を簡単に見つけられるようになっている。リモコンのカーソルをクリックしてブラウザを立ち上げれば、ネットサーフィンができるほか、検索エンジン「Search All」を直接起動することも可能だ。「Search All」では、テレビ番組の内容や、「Smart TV」に接続しているIT設備、ネット上の関連情報などを検索できる。サムスンの提供するアプリケーションサイト「Samsun Apps」では、アプリのダウンロード、アンインストールができる。アプリの内容は、天気予報から中国版ツイッター「新浪微博」、中国の大手検索サイト「百度」の提供する地図や、動画サイト「優酷」の閲覧など多岐にわたる。

 「Smart TV」はこのほか、無線共有機能「All Share」を通じ、多くの無線機能内蔵機器と相互に情報のやり取りをすることもできる。プログラムをインストールするだけで、携帯電話、パソコン、デジタルカメラ、プリンタなどの機器と接続でき、非常に便利だ。

 四、スマートテレビはなぜ高いのか。使い勝手が悪いのでは?

 現在、スマートテレビはテレビの価格決定において重視される要素ではなく、スマートテレビだから高いというわけではない。例えば、スマートテレビでなくても、2万元以上するテレビもある。

 スマートテレビは、携帯電話やパソコンに比べると、入力時に確かに不便なところはあるが、アプリやゲーム、インターネットアクセス、サイト閲覧など多くの機能において、すでにとても利便性の高いものになっている。何といってもテレビはパソコンや携帯電話と違い、家庭内で共有される機器の一つだ。例えば、サムスン「Smart TV」には、普通のリモコンも用意されており、従来のテレビの操作方法で使うこともできる。一方で、タブレットPCやスマートフォンをリモコン代わりに使用することもでき、より便利な操作を求める若者のニーズに応えることも可能だ。

 五、消費者の多くがスマートテレビを買わないのはなぜか?

 スマートテレビは全く新しいスタイルのテレビだ。販売、普及にはまだ時間がかかる。しかし、一部の消費者の理解を得られないのは、従来のテレビとある程度使い方が異なるからではないだろうか。

 現在、スマートテレビ利用者の多くは若者だ。彼らは新しいものを簡単に受け入れ、パソコンやスマートフォンの代わりにスマートテレビを利用している。経済力のある25-30歳の消費者は、すぐにスマートテレビを受け入れられるが、ほかの消費者にまで浸透するには、まだある程度の時間が必要というのが業界の見通しだ。

 六、スマートテレビの発展は?

 周知のとおり、2011年にアメリカで開催された世界最大級の家電ショー「2011 International CES」において、最も注目を集めたのはタブレット型PCでもスマートフォンでもなく、サムスンに代表されるスマートテレビだった。

 2011年はスマートテレビ元年と呼ばれている。ある機関は、今年スマートテレビ市場のシェアが10%以上伸びるとの予測も出した。またサムスンの調査によれば、サムスンSmart TVは現在、韓国国内のテレビ市場ですでに10%前後のシェアを占めているという。世界的に見ても、スマートテレビはすでに発展・拡大の基礎を固めようとしている。アップル、グーグル、インテル、サムスンなど多くの国際的大企業が、スマートテレビ市場を重視している。つまるところ、「テレビ」という概念は今、「従来のテレビ」と益々距離を取り始めているのだ。

 七、スマートテレビの当面の問題をどのように解決するのか?

 スマートテレビの発展は、多くの障害に突き当たっている。▽消費者の慣れ▽新しい産業モデルと利益分配方式▽業界の標準▽コンテンツの問題--などは、いずれも大きな問題だ。

 ▽消費者の慣れ--サムスン映像ディスプレー事業部長の尹富根氏は「サムスンはテレビをもう一度消費者のエンターテインメントの中心としたい」と述べる。スマートテレビのよりよい体験を通じて、テレビを再度消費者のエンターテインメントの中心に据えたい考えだ。

 ▽新しい産業モデルと利益分配方式--これは現在模索中であり、市場の自然な流れや利益分配を通して、合理的なスタイルが形成されるとみられている。

 ▽業界の標準--標準を作成するには時間と、産業発展による後押しが必要だ。産業の発展に勢いがあれば業界の標準も自然と生まれるはずだ。

 ▽コンテンツ--コンテンツはスマートテレビのかなめで、サムスン電子はアプリケーションの開発と、世界最先端のコンテンツサプライヤーとの協力に全力を挙げている。

 コンテンツの豊富さはスマートテレビの人気と普及、そして企業自身の発展を左右する重要なポイントだ。

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