2011年06月27日-06月30日
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中国が「ネット藍軍」を創設したわけ

2011年06月27日

 国防部の耿雁生報道官はこのほど定例記者会見で、中国が軍隊のインターネットセキュリティレベルを向上するため、「ネット藍軍」を創設したことを明らかにした。このニュースは大きな反響を引き起こし、専門家からミリタリーファンにいたるまで、幅広い層が中国の「ネット藍軍」をめぐる討論を繰り広げた。「人民日報」海外版が27日に伝えた。

 ▽「ネット藍軍」とは何か?

 中国軍事科学学会の副秘書長である羅援・少将によると、「ネット藍軍」は部隊訓練時の別名であり、訓練内容はサイバー攻撃への対応と予防措置だという。中国国防大学の軍事専門家である李莉氏は、「西側諸国のサイバー部隊と比べると、中国のネット藍軍はまだ初期段階にある。制度の整った大規模なサイバー部隊というよりは、中国軍が実施する、サイバー攻撃に対抗するための訓練方法の一種と言った方が正しい」と述べる。

 ▽目的はネットワークセキュリティの保障

 パンダ焼香ウイルスを初めとする各種のコンピュータウイルスが中国のネットセキュリティを脅かしている。

 軍事専門家である、国防大学の張召忠教授は「中国では現在、ネットワークへの依存がますます高まっているが、中国にはルートサーバーが1つもない。また、中国のネットワークハードウェア・ソフトウェアはほとんどが米国製のものだ。この点から見ると、中国はコンピュータの『ユーザー』でしかなく、ネットセキュリティがとても脆弱だ。このため、中国はネットセキュリティを保障する部隊を創設する必要性が十分にある」と指摘する。

 ▽「ネット藍軍」の創設は、情報社会において必然的

 「彼を知り己を知れば、百戦あやうからず」という言葉は現在でも戦争の鉄則とされている。情報技術が急速に発展する今日、中国は情報ネットワークセキュリティを効果的に保障する必要がある。そのためにはまさに「ネット藍軍」が必要なのだ。

 中国国際問題研究所の滕建群研究員は、「ネット藍軍の創立は、中国が陸軍、空軍を創立したのと同じく、必然的なことだ。我々は情報社会の中で暮らしている以上、この環境における次世代の戦争にも適応しなければならない。ネット藍軍は国家の側面から見ても、戦争の側面から見ても、経済発展にとっても、社会の安定にとっても重大な戦略的意義を持つ。ネット藍軍が国の安全保障に向け、貢献を果たすと信じている」と述べる。

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