2011年06月27日-06月30日
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28日未明に小惑星がわずか1万8300キロの位置を通過

2011年06月28日

 米国LINEAR(リンカーン地球近傍小惑星探査)のチームが今年6月23日に発見した小惑星2011MDの特殊な軌道が注目を集めている。オフィスビルほどの大きさのこの小惑星はただ通りすがりの小惑星なのか、それとも我々に危険をもたらすものなのだろうか。中国科学アカデミーの紫金山天文台によると、2011MDは軌道の変化により、従来予測されていた27日夜9時30分ではなく、6月28日0時50分(北京時間)に地球の側を通過するという。

 この小惑星は「2011MD」と呼ばれる。明るさから推算した直径は約5メートルから20メートル、体積はオフィスビルほどだ。紫金山天文台の趙海斌研究員によると、同小惑星が地球に最も近づいた時には明るさが13等に達し、天気がよければ肉眼でも観測できるという。地球には毎年平均で50から60トンの宇宙塵が落下しているが、大部分は大気層に突入した際に燃え尽きてしまう。オフィスビルほどの体積の小惑星が地球からわずか1万8300キロの場所を通過するという事態は5、6年に一回の確率だ。
 
 統計学的に見ると、直径10キロ以上の小惑星が地球に衝突すると、地球が滅亡する。直径1キロ以上の小惑星なら、省クラスの地区が壊滅状態となる。直径100メートルなら数千平方キロの範囲で破壊されるという。専門家はこれに先立ち、北京時間の27日夜9時半ごろに「2011MD」が月と地球の間を通り、最も近い地点では地球からわずか1万2000キロの距離しかないと予測していた。「しかしその後の観測で、軌道の変化が見られた。」紫金山天文台琳伶天文天文観測ステーションが追跡観測を行なったところ、26日夜には雨上がりの晴天となり、小惑星の運動スピードが非常に速いことをふまえて、趙研究員は天体望遠鏡で移動する天体を追跡する方法で撮影を行い、高速で移動する小惑星を撮影した。

 27日午前に撮影された写真を元に詳しく軌道を計算したところ、同小惑星は28日の未明0時50分(北京時間)に地球の近くを通過し、最も近い場所ではわずか1万8300キロしか離れていないことを明らかにした。小惑星の飛行スピードは毎秒6.7キロで、当該高度における地球の脱出速度(毎秒5.7キロ)を上回るため、地球には衝突せず、地球の側をかすめて宇宙へと戻ってゆくという。

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