中国工程院の朱英国院士(武漢大学教授)率いる研究チームが育成した、トビイロウンカへの耐性を持つ世界初のイネ「HL型新不稔性ハイブリッド米・珞紅4A(以下、珞紅4A)」が15日、湖北省武漢で専門家による鑑定に合格した。この研究成果により、イネの害虫トビイロウンカによる被害解決という難題が解決される見込みだ。中国新聞網が15日に伝えた。
HL型ハイブリッド米は朱英国院士率いる研究チームが40年近くかけて開発、育成した良種で、袁隆平院士の「WA型」、日本の「BT型」とともに国際的に公認されたハイブリッド米の三大細胞質雄性不稔品種とされる。うち、「紅蓮型」と「野敗型」だけが大・中規模の栽培を行っている。
1998年〜2003年にかけ、害虫ウンカの被害によりイネの生産量は50万トン以上減少した。特にウンカの一種・トビイロウンカの被害が深刻だった年は、一部の稲作地帯では1粒も収穫できないということもあった。しかし、化学農薬の使用は環境汚染につながるだけでなく、生産コストもかかり、健康にも危害を与える。
いかにイネをウンカ被害から守り、新たな耐性遺伝子を見つけ出すかは世界の科学者たちの研究の焦点となった。2009年、武漢大学の何光存教授はポジショナルクローニング法を利用し、初のトビイロウンカ耐性遺伝子BPh14を分離させるのに成功した。
この発見に基づき、朱英国院士率いる研究チームは試験を繰り返し、「珞紅4A」を誕生させた。中国科学院の謝華安院士ら専門家は15日の鑑定で、「珞紅4A」は選択的育成によりトビイロウンカの耐性遺伝子を重合したもので、苗と成株はいずれもトビイロウンカ耐性を持っているとの見方を示した。