2011年08月15日-08月19日
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大亜湾のニュートリノ観測装置、データ取得を開始

2011年08月16日

 広東省の大亜湾原子炉ニュートリノ実験国際協力チームは北京で15日、大亜湾原発の原子炉からわずか360メートル、地下100メートルの位置にある実験室内に設置された2つのニュートリノ観測装置がすでに原子炉からのニュートリノを測定したことを明らかにした。新華社が15日に伝えた。

 ニュートリノは測定が極めて難しい素粒子で、3種類が存在し、振動を通じてあるタイプから別のタイプのニュートリノへと変動することができる。大亜湾の実験の目標は、最後の未知パラメーターであるニュートリノ振動混合角θ13を正確に測定することで、その数値の大小は今後のニュートリノ物理学研究の方向を決定付け、しかも宇宙の「反物質消失の謎」にも関わる。

 大亜湾国際協力チームのスポークスマンである米エネルギー省ローレンス・バークレー国立研究所の陸錦標教授は、「大亜湾で取得されたデータにより、我々はこの未知の混合角の測定ができるようになった。最終的には振動幅の測定精度を1%以内にまで高めていく。この精度は、現在の測定結果よりも一桁高く、しかも現在進行中の他の実験よりもはるかに精確なものだ」とし、また「実験結果は、ビッグバン後の初期宇宙における基本物質の変化の中でニュートリノが果たした役割、及びなぜ現在の宇宙において物質が反物質よりも多いのかを説明するのに役立つだろう」と述べる。科学者らは、実験目標の実現には約2年間かかるとしている。

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