2011年10月10日-10月14日
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中国の宇宙技術、歩幅は小さいが着実に前進

2011年10月19日

 AP通信は29日、中国がこのほど打ち上げたドッキング目標機「天宮1号」は技術的な見地から言うと、米国の1960年代のレベルに相当すると伝えた。これを受けてある専門家は「1960-70年代の科学技術レベルと今のレベルは違う。コンピュータ分野などを見れば一目瞭然であり、言うまでもない。宇宙技術も同じことだ。中国はスタートが遅れたものの、一歩一歩確実に前進している」と語った。新民周刊が19日に伝えた。

 50年前、自動車の最高時速は100キロだったが、現在、同じ時速100キロで走る自動車も、技術的には当時と比べて大きな進歩を遂げている。旧ソ連が有人宇宙飛行事業を始めた当初、猿を宇宙船に乗せて打ち上げた。一方、中国の神舟3号と4号には、心臓の鼓動・血圧などを測ることができる各種センサーが取り付けられた宇宙飛行士のダミー人形が搭載されたため、猿を乗せる必要がなかった。

 有人宇宙飛行分野において、中国のレベルは世界の最先端レベルとは確かに差があるが、世界と比べてもそれほど差がない分野もある。たとえば宇宙空間でのドッキング技術や月探査技術だ。月探査衛星・嫦娥2号の飛行距離は150万キロに達した。地球から38万キロ離れた月面への上陸は、実は難しいことではない。難しいのは上陸後に月から帰還する技術だ。有人宇宙飛行に関しては、日本もインドも欧州宇宙機関(ESA)もまだ実現していないが、中国は有人宇宙飛行を実現しただけでなく、今に至るまで1度も死者を出していない。これは容易なことではない。

 中国の宇宙事業で最も誇れるのはその安全性だ。歩幅は小さいが、確実に前進しており、一歩一歩に大きな意味がある。

 中国は現在ロシアと提携関係を結び、上海宇宙局の火星探査衛星をロシアの火星探査機「フォボス」に搭載し、共に打ち上げることが決まっている。

 米国の宇宙学者Joan Johnson Freese氏が述べるように、中国が計画する打ち上げの回数は米国よりも少ないが、1回ごとの打上げが宇宙計画にもたらす推進力は米国を上回る。中国は40年間の「後発のメリット」を持ち、中国の有人宇宙飛行事業は手探りの状態から出発する必要がないのだ。

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