2011年10月10日-10月14日
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放射線の正しい知識(2)生活のいたるところに放射線

2011年10月21日

 清華大学工程物理学部の朱立教授によれば、放射線は電離放射線と非電離放射線に分けられる。テレビ塔や電子レンジから発生する電磁波は非電離放射線で、核放射線は電離放射線だ。電離放射線にはα、β、γ線、X線、中性子線や他の粒子線などが含まれる。「古来より、人類は自然の放射環境の中で暮らしており、全ての人がいつでも自然放射線を受けている」。

 自然界の放射線には3種類ある。1つ目は体内に存在している自然放射性核種(カリウム40)だ。2つ目は土壌や岩石に含まれるウラン・トリウム・カリウム40などの自然放射性核種。家屋や道路、水や食物、空気の中にも微量の自然放射性核種が含まれる可能性がある。3つ目は宇宙からの放射線だ。これには大気圏外からくる一次宇宙線および、大気圏の物質との相互作用によって発生した二次宇宙線が含まれ、地球上に暮らす人々はみなこの宇宙線を浴びている。これらが通常言われる「自然放射線」だ。

 自然放射線は時間による変化は小さいが、地域や環境による変化は大きい。例えば、緯度が高い地域や高度が高い地方、洞窟や地下室、花崗岩やシンダーブロック製の家に住む人々が受ける自然放射線量は多い。権威的機関が2003年に発表した統計によると、世界の自然放射線の範囲は1-10mSv/年であり、平均で2.4mSv/年だった。うち、40%は体外からの外部被ばくで、60%は自然放射性核種の摂食・吸入による内部被ばくだった。

 朱立教授によると、現代社会において人々はこのほかにも多くの放射線を浴びている。例えば、X線検査、テレビ、飛行機、タバコ、電子レンジなどだ。原発の周辺に住んでいる場合は約0.0002mSv/年、飛行機に乗れば1時間あたり約0.005mSv、毎日1時間テレビを見ると0.001mSv/年、食べ物を食べれば0.02mSv/年、X線検査1回で0.5-2mSvの放射線を受けることとなる。

 放射線の影響には、体への影響と遺伝子への影響の2つがある。体への影響とは被ばく者自身の体への影響を指し、やけど、白血病、甲状腺がん、死亡などがある。遺伝子への影響とは、被ばく者の遺伝子に変異が発生し、次世代の健康に影響が及ぶことを指す。一般的に一度に250mSv以下の被ばくでは遺伝子に変異が起きることはない。朱教授は、「人体は放射線に対してある程度の適応性と回復能力を持っている。しかし、程度は異なるものの放射線が健康を損なうことは確かだ」と強調する。

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