2011年10月17日-10月21日
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中国 海水淡水化技術に注目、世界に向け淡水供給へ

2011年10月28日

 ソーラーパネルと風力タービン分野で大きな成果をあげた中国は、次なる目標として新興産業である海水淡水化技術に目をつけた。中国の海水淡水化産業はすでに世界トップレベルに達しており、将来的には世界に向けた淡水供給も行っていく。中国国際放送局サイト「国際在線(CRIオンライン)」が米「ニューヨークタイムズ」紙の報道を引用して伝えた。

 中国は、2020年までに1日あたりの海水淡水化量を現在の68万立方メートルから300万立方メートルにまで増加させることを目標としている。中国海水脱塩淡水化協会の責任者によると、現在少なくとも全国6都市で逆浸透膜(メンブレン)の研究が行われている。これは現在最も成熟した高効率の海水淡水化コア技術だ。

 中国国家発展改革委員会は、淡水化設備の製造又は淡水化技術・特許の研究を行う国内企業に対し、免税や低金利ローンなどの優遇措置を講じて発展を奨励していく考えだ。中国政府も国有企業、政府機関、私営企業などを通じた淡水化産業への投資を計画している。

 現在、中国における淡水化設備と技術の国産化率はわずか60%未満となっている。中国は2020年までにこの割合を90%まで高めていく考えだ。中国が淡水化開発に力を入れる理由はいくつかある。まず、中国における淡水の需要は2030年までに63%増加し、世界一となると予想される。次に、世界の淡水化技術市場は2020年までに現在の4倍の規模となり、市場価値は500億ドルとなる見通しだ。世界の水不足が日に日に深刻化する中で、淡水化産業もより一層成長していくと見られる。どの方面からみても、中国はすでに他国をリードしていると言える。

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