2011年11月28日-11月30日
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1ミリリットルの血液で肝臓がんの早期発見が可能に

2011年11月30日

 復旦大学付属中山医院が29日に明らかにしたところによると、同院と復旦大学の研究者はこのほど、特異度・感度・操作性などを総合的に見てメリットが最も顕著な肝臓がん検査の新方法を発見した。この研究成果は権威ある学術雑誌、米「Journal of Clinical Oncology」上で発表され、編者の言葉では「これにより従来の肝臓がんスクリーニング方法が変わり、肝臓がんの早期発見・早期診療が促進され、生存率が向上することが期待される」と指摘された。新華社が伝えた。

 中山医院肝臓がん研究所の研究チームと復旦大学の病理学部は3年間の協力を経て、肝臓がん患者の血漿から、7種類のmiRNAで構成される肝臓がんの診断分子マーカーを発見した。2ミリ未満の肝臓がんに対する検出率は約90%、AFP陰性肝臓がんの検出率は88%を上回る。

 論文を執筆した樊嘉教授は「新方法を使えば、2ミリ未満の肝臓がんを早期発見できる。これまで有効な検査方法がなく、治療のチャンスを逃していた肝臓がん患者も早期治療が可能となる。中国では現在、肝臓がん患者の5年生存率は約7%だが、2ミリ未満の早期がんならば切除、高周波アブレーションなどの方法で完治させることができ、5年生存率は90%を上回る」と語る。

 この研究成果は現在、中国、米国、日本、EUなどで特許を出願中。研究者は7種類のmiRNA検出プローブを含むマイクロチップを開発し、肝臓がん高リスク群を対象に大規模なスクリーニングを行っていく。

 新方法のメリット

 ■miRNAがが血漿の中でRNA酵素による分解に耐えることができ、安定している。

 ■検査が便利。1ミリリットルの血液さえあれば、数時間以内に結果が分かり、連続的・動態的な検査や大規模なスクリーニングに適している。

 ■検査における技術的要求はシンプルでコストも安い(約100元)ため、普及しやすい。

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