2012年03月12日-03月16日
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中国 世界最先端の地殻変動観測網を構築

2012年03月16日

 地殻変動観測などを行う「中国大陸構造環境モニタリングネットワーク」がこのほど、国家発展改革委員会による国家検収に合格した。検収委員会は「規模・精度という点から見て、同ネットワークは米国のPBO、日本のGEONETと共に、最先端の性能を持つ世界3大地殻変動観測ネットワークの1つとなった」との見方を示した。科技日報が14日報じた。

 中国地震局の陳建民局長によると、同ネットワークは約4年間、5億元以上をかけて構築されたもので、第11次五カ年計画期(2006-2010)における国家重大科技インフラ建設プロジェクトの1つ。中国地震局を筆頭に、中国人民解放軍総参謀部測量航法局、中国科学院、国家測量地理情報局、中国気象局、教育部の6部門により共同で実施された。

 プロジェクトでは、GNSS(全地球航法衛星システム)測量を主とし、VLBI(超長基線電波干渉法)・SLR(衛星レーザ測距)などの技術を補助的に活用し、さらに精密重力、水準測量などの技術を組合せ、最終的に計260カ所の連続観測点、計2000カ所の不定期観測点を持つ観測網を構築した。同観測網は中国大陸をカバーし、高精度・高時間分解能・高空間分解能で、独自のデータ処理システムを持つ。

 同ネットワークは主に中国大陸の地殻変動、重力場の形状および変化、対流圏における水蒸気含有量の変化、電離層におけるイオン濃度の変化のモニタリングに使われ、地殻の時空間変動の規律、構造変形の三次元的特徴、地震直前における地殻の時空間変動の特徴、大地測量基準システムの構築とメンテナンス、増水期暴雨の大規模な水蒸気輸送モデル、中国上空の電離圏動態変化画像、宇宙天気などの問題研究に向け、基礎的な資料などを提供する。

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