2012年03月26日-03月30日
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携帯電話1億台を毎年廃棄 金1500キロに相当

2012年03月30日

 携帯電話の利用者増加や買い換えペースの加速を受けて、廃棄される端末の量がますます増えている。中国広播網などのメディアが伝えたところによると、現在、世界では毎年4億台の端末が廃棄されており、中国は約1億台に上るという。国際連合環境開発会議(UNCED)はこのほど発表した電子廃棄物の資源化に関する報告書の中で、2020年には中国の廃棄携帯の数が07年の8倍に増加すると予測する。「中国青年報」が伝えた。

 これほど多くの廃棄携帯が正規ルートを通じて回収されているのだろうか。あるメディアが伝えた廃棄携帯の動向調査によると、消費者のうち約4割は使い終わった端末を家に残し、1割は親類や友人に譲り、5割は街頭で端末を回収する業者に引き渡しているという。

 廃棄携帯の部品には鉛、カドミウム、水銀など多くの有害物質が含まれており、直接廃棄すると深刻な土壌汚染や地下水汚染をもたらす。廃棄携帯の充電池1つが引き起こす汚染は普通の乾電池の100倍に相当し、6万リットルの水を汚染する。廃棄携帯をゴミ焼却場で燃やすと、プラスチックでできた本体から塩素系の有毒物質が発生し、発ガン性の高いダイオキシンが発生することもある。プリント基板(PCB)と本体には臭素系難燃剤が使用されており、健康に害を与え、甲状腺機能の低下、内分泌の乱れ、神経系や免疫系の問題などを引き起こす可能性がある。

 「山西商報」が昨年8月に伝えたところによると、携帯電話の内部部品にはさまざまな価値のある材料が含まれ、金が0.01%、銅が20-25%、再生可能プラスチックが40-50%含まれている。ある研究によると、廃棄携帯1トンから金150グラム、銅100キログラム、銀3キログラムを回収できるという。中国で現在、1年間に廃棄される端末は1億台で、重さは1万トンに上り、回収処理を行えば1500キログラムの金、100万キログラムの銅、3万キログラムの銀が回収できることになる。

 だが中国の現在の廃棄携帯の回収処理制度や回収の現状は楽観的なものではない。国は11年から「廃棄電器・電子製品回収処理管理条例」を施行しているが、実施範囲は冷蔵庫、テレビ、洗濯機、エアコン、テレビにとどまり、携帯端末は入っていない。中国信息産業網が伝えたところによると、世界の廃棄携帯の回収率は約3%で、中国は1%にも満たない。05年から11年末までの6年間にノキアが回収した端末と関連部品は、重量約160トンにとどまるという。

 欧州連合(EU)は「電子廃棄物処理法」の中で、EU市場で生産、販売される携帯電話は必ず整った分別・回収・リサイクルのシステムを備えるとともに、製品回収に責任を負わなければならないと規定する。また携帯電話1台あたりの再利用率は75%、各部品・材料の再利用率は65%以上と規定し、これを下回る製品はEU加盟国での販売を制限するとした。

 今年2月、日本の環境省も小型電気電子機器リサイクル制度の計画を打ち出した。1月までにまとめられた法案をみると、パーソナルコンピューター(PC)、携帯電話、ゲーム機器、扇風機など96種類の小型家電製品が適用の対象となっている。同省によると、これら96種類の小型家電を回収することにより、価格にして844億円に相当する28万トンの金属を毎年回収することができるという。

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