中国第28次南極観測隊は163日間にわたる航行任務を終え、極地調査船「雪竜」でこのほど帰国した。上海浦東の極地調査国内基地埠頭で4月8日、歓迎セレモニーが行われた。人民日報が報じた。
今回の南極観測任務では、中国が自主開発した望遠鏡「AST3」が崑崙基地に設置され、テストが行われた。遠隔操作が可能で、かつ追跡・オートフォーカス機能を持つ天体望遠鏡が南極内陸部に設置されるのは今回が初めてであり、まもなく観測が始まる予定。
中国南極天文センターの商朝暉副主任は、「この望遠鏡は現時点で南極最大の光学望遠鏡であり、世界最大のワンチップCCDカメラを搭載している。画素数は1万画素にのぼり、1度の露出で月18個分に相当する4.3平方度の空をカバーし、効果的に天文観測観測を行うことができる。主に超新星、太陽系外の惑星、トランジェント天体などの研究に使われ、特に超新星の研究は科学的に高い価値を持つ。I型超新星の研究を通じて宇宙が加速膨張している事実を発見した科学者は、昨年ノーベル賞を受賞した」と語る。
同望遠鏡が設置された南極ドームAは大気が希薄で透明度が高く、世界で最も天体観測に適した天文台と言える。第24次南極観測以降、観測隊らは同プロジェクトの実証を行ってきた。今後2年間で、隊員はドームAにさらに2台の望遠鏡を設置する予定。
商副主任は「今後は現場のセンサーや温度などのデータをリアルタイムで表示できるようにしたい。また、望遠鏡で撮影した写真などもリアルタイムでネット上に表示できるようにする」と語る。