中国科学技術大学が明らかにしたところによると、同大学の潘建偉教授らはドイツの科学者と協力し、世界初となる高効率・長寿命の高性能量子メモリを実現することに成功した。これは、次世代量子コンピューティング研究における重要な一歩となる。新華網が報じた。
量子コンピューティングは、世界の次世代通信・コンピュータ技術になると見られているが、重要部品である量子メモリがいまだ研究段階にあり、メモリ寿命と読出速度という2つの主要性能指標を同時に向上させることができていない。例えば、メモリ寿命がミリ秒規模向上しても、読出速度はわずか20%しか向上せず、読出速度が70%向上しても、メモリ寿命はわずか数百ナノ秒?数マイクロ秒か向上しないといった具合だ。2つの指標のどちらか一方しか満たしていない量子メモリでは、量子コンピューティングの要求を満たすことはできない。
中国科学技術大学微尺度国家実験室の潘建偉氏、包小輝氏、趙博氏らはドイツの科学者と協力し、一連のイノベーションと努力を重ね、このほどメモリ寿命が3.2ミリ秒、読出速度73%の量子メモリを実現、量子メモリ研究における現時点での最高性能を達成した。
この成果は20日にネイチャー誌で発表され、「多原子系を利用した複雑な量子情報研究の扉が開かれた」と評価された。