2012年05月21日-05月25日
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今年は珍しい天文現象が目白押し 一体なぜ?

2012年05月25日

 5月21日の朝、金環日食という珍しい天文現象が各地で観測され、美しい「金の輪」が東の空に浮かんだ。

 それだけではない。今年6月6日には金星が太陽の前を横切る「金星日面経過」という珍しい現象が起きる。次にこの現象が見られるのは100年以上後のことだ。このほか、8月のペルセウス座流星群では、1時間あたり100個以上の出現が予想される。さらに、9月には天王星が、12月には木星が衝となる(太陽、地球、外惑星の順に直線状に並ぶ)。なぜ今年はこれほど多くの天文現象が見られるのだろうか?人民政協報が報じた。

 ▽次に見られるのは100年後、「金星日面経過」

 2012年に最も期待される天文現象は6月6日の「金星日面経過」だ。専門家は「次にこの現象が起こるのは2117年で、100年以上後となる。観測時間は6時間にのぼり、中国の大部分の地区で観測することが可能だ」と語る。

 天津市天文学会の趙之コウ(=王へんに行)理事によると、金星は地球よりも内側の軌道を公転しており、地球・金星・太陽が一直線に並ぶときに地球から金星を見ると、金星のシルエットがまるで黒点のように太陽の表面をゆっくりと通過するのが観測できる。これを「金星の日面通過」と言う。

 ▽ロマンティックな流星群

 5月に入ってから各地で様々な天文ショーが相次いでいる。5月5日にはみずがめ座流星群が見られた。中国科学院紫金山天文台の王思潮研究員は「これは今年上半期の流星群のうち、流星の数が最多のものだ。今年は計7回の大規模な流星群が見られる」と紹介する。

 みずがめ座流星群が終わると、8月にはペルセウス座流星群が見られるほか、10月18?23日にはオリオン座流星群が見られ、11月18日前後にはしし座流星群が見られる。今年最も期待されるのは12月7日-17日のふたご座流星群で、12月14日の早朝に極大を迎え、最も多くの流星が見られる。ちなみにこの日はちょうど旧暦の1月2日にあたり、新月で月明かりの影響がなく、最高の観測条件となる。

 ▽外惑星の衝、観測の良いチャンス

 外惑星(地球よりも太陽から遠い軌道をめぐる惑星)の衝は、惑星を観測する良いチャンスだ。専門家によると、今年は火星、土星、海王星、天王星、木星の順番に衝となる。

 王研究員によると、いわゆる衝とは、外惑星と太陽がちょうど地球の両側に位置し、さらに3つの天体がほぼ一直線に並ぶことを指す。このとき、惑星と地球の距離は最も近く、最も明るく見えるため、観測する良い機会になるという。

 神秘的な海王星は今年6月29日に、天王星は9月29日に衝となる。今年最後に衝となるのは太陽系最大の惑星・木星で(12月3日)、肉眼でも夜空に浮かぶ木星をはっきりと目にすることができるだろう。

 ▽今年天文現象が多いのは、偶然周期が重なったため

 今年は天文現象が目白押しなだけでなく、西暦・旧暦ともにうるう年であり、1年に2回立春がある年でもある(これは旧暦のうるう年で1年の日数が延びたため)。

 これについて天文学者は、「天文現象には客観的な法則性が存在する。例えば日食・月食は、太陽・月・地球の3つの天体が、規則正しく公転する中で、相対的な位置関係などの条件がそろったときに起こる、よく見られる現象だ。現代の天文学知識を駆使すれば、これから数千年の間に起こる日食・月食の正確な日時と、観測可能な地点を計算できる。金星の日面経過は2回がセットになっており、1回起こると8年後にまた起こるが、その次は100年以上の間隔があく。太陽活動は平均11年で変化しており、まもなく観測以来24期目のピークを迎える。ちなみに前回のピークは2002年前後だった。西暦のうるう年は4年に1回で、4年毎に2月が29日までになる。旧暦の場合19年のうち7年がうるう年で、うるう年には『うるう月』があり、1年が約1カ月増える。また西暦と旧暦のうるう年が重なり、1年に2回立春があるという現象は約10年ごとに1回発生し、前回は2001年だった。今年のように、珍しい天文現象が1年間に集中して起こることは確かに珍しいが、上述の分析でわかるように、これはいくつかの異なる天文現象の周期がたまたま2012年に重なっただけであり、全くの偶然ということだ」と述べる。

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