2012年06月01日-06月01日
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宋代の沈没船「南海1号」 本格的な発掘調査が来年始動

2012年06月04日

 2007年に引き揚げられ、現在は広東省の海上シルクロード博物館に保存されている宋代の沈没船「南海1号」。その発掘作業は各界から注目を集めている。同博物館の黄劉生館長が3日に明らかにしたところによると、「南海1号」の全面的な発掘調査プランが年末に確定され、来年上半期にも始動するという。中国新聞網が3日に報じた。

 「南海1号」の発掘調査は、現在のところ中国最大規模の水中考古学プロジェクト。「南海1号」は2007年末に引き揚げられ、2009年には同船のために建設された海上シルクロード博物館がオープンした。船体および文化財の保護のため、普段は全体を囲うケーソン(潜函)ごと博物館内の海水プールに沈められている。過去2度にわたり、考古学者による試験的な発掘作業が実施された。

 記者が3日に博物館を訪れたところ、引き揚げ時に使用した鉄のケーソンは数年間海水に浸されていたため、すでに錆びついていた。

 黄館長によると、関連部門が現在「南海1号」の全体発掘プランを制定中であり、中国国家文物局が今年末までにプランを確定する。「南海1号」の文化財は海水から引き揚げた後に適切な保護が必要なため、発掘プランは段階的に進められる見込み。

 いつごろ「南海1号」の神秘のベールがはがされるのかについて、黄館長は「まだ未定である」とした。文化財関係部門はこれまでも「南海1号」の発掘に対し、非常に慎重な決定を下してきた。関係者は「『南海1号』の発掘にスピードは要求されていない。科学的な手順に基づいて行うことが必要だ」としている。ある専門家によると、南海1号の発掘が完全に終了するまでには数十年かかるという。

 「南海1号」は1987年夏に発見された宋代の商船。世界でこれまで発見された中で年代が最も古く、船体が最も大きく、保存状態が最も良く、文化財の数が最も多い遠洋貿易商船だ。

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