2012年06月18日-06月22日
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神舟9号、帰還時に悪天候に見舞われる可能性も

2012年06月27日

 宇宙船「神舟9号」の打上げから10日が経過し、3人の宇宙飛行士たちの帰還の日がますます近づいた。

 「神舟9号」任務の着陸場指揮長である張海東氏は神舟9号の帰還について、「神舟8号の時と比べ、神舟9号の帰還における最大の違いは宇宙飛行士の捜索救援任務が加わったこと。ゆえに着陸場システムも新たな試練と困難に直面している。これらは主に宇宙飛行士の無重力状態からの回復、専用機による移動などの4方面にわたる」と述べた。着陸場システムは本日、宇宙船が帰還する時間と場所に基づき、実践的な最終訓練を行う予定という。北京晨報が報じた。

 ▽悪天候という試練

 天候は安全な帰還に影響を及ぼす重要な要素だ。帰還に適さない悪天候には雷雨、ひょう、大風などがあるが、夏の草原地帯ではこれらの天候が頻繁に見られるため、正確な天気予報が要求される。気象部門はこれについて合同で話し合いを行う予定。

 ▽大気圏の摩擦熱による高温

 中央電視台(CCTV)によると、宇宙船帰還のプロセスの中で、大気圏突入の際に通信が一時的に途切れる「ブラックアウト」が起きる。張氏が最も心配しているのはこの時間帯だ。張氏は「帰還モジュールが大気圏に突入後、大気圏の摩擦熱により1千度以上の高温が発生する。これにより帰還モジュールは火の玉のような状態になり、しっかりした耐熱措置をとらなければ飛行士も耐えられず、帰還モジュールも破損してしまう。神舟の耐熱システムが検証される」と語る。

 帰還モジュールが大気圏を過ぎ、地上80-90キロの高さに到達したころ、摩擦による高温で機体周辺の大気が電離し、形成されたプラズマで電波が遮られ、通信が一時的に途絶える「ブラックアウト」が起きる。この間帰還モジュールと地上は、音声・映像・画像など一切の連絡が不可能になり、宇宙飛行士にも精神的な試練が課される。この間は約3-4分間で、帰還モジュールが地上約40キロの高さに到達したころに「ブラックアウト」は消滅する。

 ▽帰還モジュールには予備パラシュートも

 帰還モジュールが無事に地上約10キロの地点に達した後、パラシュートが無事開くかどうかは、宇宙船回収・着陸システムの人員が最も注目する瞬間だ。

 万が一の場合に備え、帰還モジュールにはメインパラシュートのほか、予備パラシュートが2セット備えてある。メインパラシュートに故障が生じた場合、予備用パラシュートでも帰還することができる。

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