2012年06月18日-06月22日
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有人ドッキングを支えた宇宙・地上通信システム

2012年06月27日

 宇宙船「神舟9号」の打上げから26日で11日が過ぎた。この間、3人の宇宙飛行士が宇宙船内を行き来し実験する様子や、食事・休憩の様子などは全て、地上の通信システムのスクリーン上に映し出されている。人民日報が報じた。

 ▽ドッキング任務の全プロセスに参与する通信システム

 北京宇宙飛行制御センター・通信システムの責任者である賈文軍氏は「宇宙飛行士たちの一挙一動をありのままに映し出すことで、より良い支援を提供できる。宇宙・地上間の通信は任務にとってなくてはならないもの」と語る。

 宇宙・地上通信システムは簡単な通話や挨拶のみに使われるわけではない。制御センター、観測制御ステーション、宇宙機間の情報伝達を担うほか、有線・無線の情報チャンネルを通じて制御センター、観測制御ステーション、発射場、回収区を結びつけ、宇宙観測制御通信ネットワークを形成する。さらに有人ドッキング任務では、全プロセスに直接的に参与する。同システムは今回の有人ドッキングにおいて非常に重要な任務を担い、有人宇宙飛行プロジェクト全体にとっても重要な意義を持つ。

 地上との通話を実現するため、宇宙機には無線電話通信設備とビデオ画像送信設備が設置されており、飛行の各段階において地上との通話が可能だ。また、宇宙機と宇宙飛行士の状態をパノラマ映像で映し出せるため、宇宙飛行士が宇宙船内を行き来したり、実験する様子、さらには食事や休憩の様子までが地上から一目瞭然となった。

 このほか、画像には情報注釈機能が追加された。これにより、各画像がどこのもので、どのカメラで撮影したものか地上で随時把握でき、意思決定する上でより豊富かつ正確な情報が得られるようになった。

 ▽通信がよりフレキシブルに

 今回の任務では連続13日間にわたる有人飛行を行う。これは中国の過去3回の有人飛行日数の総計を上回る。この間、宇宙と地上をつなぐ唯一の通信手段である通信システムには、高水準の自動化が求められる。

 北京飛行制御センター・指揮制御室の易欣シニアエンジニアによると、今回の任務では全く新しい通信体制を採用し、これまでの「専用回線」を使った通信方式ではなくなったため、通信設備の配置がよりフレキシブルになったという。

 今回の任務ではさらに自動通話システムを開発、計画・命令駆動モードを採用し、飛行状況に基づき自動的に音声・画像の管理を行えるようになった。

 易シニアエンジニアは「自動化のレベルは以前と比べて大幅に向上した。宇宙機が観測制御範囲に無いとき、多くの設備は電源がオフになり、範囲に入ったら自動的にオンになる」と紹介した。

 このほか、有人ドッキング任務中、宇宙機の状態を最も直感的かつ効果的に体現するのが画像だ。宇宙船と天宮1号を映すカメラは多く、ドッキングなどの重要な瞬間には頻繁にカメラが切り替えられる。この時、現在映し出されている画像の情報をすばやく的確に識別する必要がある。このため、科学者は従来の画像自動判別プロセスに改良・改善を加え、画像識別のスピードを大幅に向上させた。このことは、神舟9号の指揮員が直ちに正確な画像情報を把握し、すばやく意思決定をする上で重要な意義を持つ。

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