2012年07月09日-07月13日
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トルファンで発見の義足は約2300年前ものと証明

2012年07月10日

新疆ウイグル自治区トルファン地区の勝金店墓地で2010年に発見された義足は、綿密な考証の結果、今から約2300年前のものであることが証明された。この義足はこれまで世界最古とされてきたローマ時代の義足「Roman Capua Leg」よりも数百年昔に存在したことになる。光明日報が報じた。

 勝金店墓地はトルファン市・勝金店村の南、トルファン市の西40キロの地点に位置する。2007年10月、新疆文物局の認可を得て、トルファン学研究院考古研究所が緊急発掘調査を行ったところ、墓31基から義足を含む多数の重要文化財が出土した。

 義足が出土した2号墓地は、墓地全体の中央からやや東よりに位置する。

 調査隊が墓の覆いを取り除き、墓口を発見し、竪穴に詰まった砂や草を掘り進むと、深さ80センチの地点から木の梁、偏室の入り口などが相次いで発見され、竪穴底部から骨棚が発見された。墓穴には2人が埋葬されていた。先に埋葬された人骨は中年男性で、偏室の中で頭を西北に向け、顔は上向きで、足を曲げた姿勢で横たわっていた。頭骨は砕けていた。この男性は骨増殖症を患っており、左下肢の大腿骨、脛骨、腓骨、膝蓋骨が動かせない状態だった。

 義足は複数の材料で作られている。本体はニレ(もしくはカバノキ)の厚い板で作られており、全長は90.2センチ。うち、上半分は固定板で、長さは52センチと、ちょうど使用者の大腿骨と同じ長さだった。上半分の先端部には2つの穴、両側にはそれぞれ7つの穴が空けられており、穴の中には皮製の紐が残っていた。この紐を使って義足を太ももに固定していたと見られる。義足の中央部は連接棒で、直径は3.6センチの円柱形をしている。連結棒と固定版の間には補強のために3本の皮紐が巻かれ、義足が緩んだり脱げたりするのを防ぐ役割を果たしていた。

 トルファン地区の木器加工技術の歴史は長く、古くから穴あけ、彫刻、ほぞ、研磨、組み立てなどの技術を掌握していたため、様々な材料を使って義足を製作するのに技術上の難題はなかったと見られる。新疆・トルファン地区で発見された唯一の義足であり、世界の考古学史上においても奇跡と言える。

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