2012年07月09日-07月13日
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中国初 着床前診断によりドナーベビーが誕生

2012年07月11日

 中山大学第一附属医院でこのほど、ある特別な女の赤ちゃんが誕生した。この赤ちゃんは着床前診断(PGD)により生まれた中国初の赤ちゃんであり、貧血の遺伝病・ベータサラセミアをわずらう姉(14歳)を治すという大きな使命を背負って生まれてきた。

 赤ちゃん誕生の背景には、遺伝子段階からの綿密な「選定」があった。体外受精によって得られた12の胚に着床前診断を行い、ベータサラセミアをもたらす遺伝子異常がなく、しかも姉と適合するヒト白血球型抗原 (HLA) を持つ受精胚を選び、母親の子宮に着床させた。この赤ちゃんのへその緒から採取した造血幹細胞を移植すれば、姉の病気を治すことができる。 

 中山大学第一附属医院婦産科生殖医学の首席科学者である周燦権教授は、「同女児の誕生は中国生命科学の先駆けであり、治療のための体外受精技術が中国でも成功したことを意味する」と語る。

 ▽用語解説:着床前診断

 着床前診断(preimplantation genetic diagnosis,PGD)とは、体外受精から着床までの間に配偶子又は胚の生体検査、分子生物学的手法を用いた遺伝学診断を行い、表現型が正常な胚を選んで移植するという方法。

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