2012年07月23日-07月27日
トップ  > 科学技術ニュース>  2012年07月23日-07月27日 >  データ中継衛星、有人宇宙飛行にとって極めて重要

データ中継衛星、有人宇宙飛行にとって極めて重要

2012年07月27日

 中国は25日夜、データ中継衛星「天鏈1号03星」を搭載したキャリアロケット「長征3号丙」を西昌衛星発射センターから打ち上げた。同衛星は中国が打ち上げた3基目の静止データ中継衛星。「天鏈1号」の副総設計師である劉晋氏はこのほどインタビューに答え、「データ中継衛星はすでに有人宇宙飛行任務にも応用され、欠かすことのできない役割を果たしている。データ中継衛星がグローバルネットワークを構築することは、中国の有人宇宙飛行計画の発展にとって極めて重要」と述べた。中国新聞社が報じた。

 劉氏によると、中国はかつて、地上200キロ―2000キロの軌道上にある宇宙機の観測制御を全て地上ステーションと測量船に依存しており、観測カバー率は約15%だった。その後、データ中継衛星「天鏈1号01星」・「02星」が打ち上げられ、ネットワーク化したことにより、宇宙からの観測制御が実現し、カバー率は70%前後に達した。

 中国の有人宇宙飛行プロジェクトでも、最初のころはデータ中継衛星のサポートがなく、宇宙船「神舟」が地上観測ステーションの観測区間に入った時のみ通信や指令の伝達ができた。しかし、「天鏈1号」が打ち上げられたことで、このほど行われた「神舟9号」と「天宮1号」のドッキング任務では、両宇宙機が地球を1周する90分間のうち60分あまりの観測をカバーすることができ、宇宙の状況を全面的かつリアルタイムに掌握することができた。

 「03星」の打ち上げ後、「01星」・「02星」とネットワーク化を実現すれば、中国の宇宙観測カバー率は100%に近づき、いつでもどこでも宇宙機の状態を把握できるようになる。劉氏は「これは有人宇宙飛行にとって極めて重要だ。なぜなら飛行士および宇宙機の安全を確保するためには、いつでもどこでも彼らの状況を把握するべきだからだ」と語る。

 劉氏はまた、「中国のデータ中継衛星はスタートこそ遅れたものの、進歩は非常に早かった。中国の宇宙事業が発展し、宇宙機が増えるに伴い、3基の『天鏈1号』による中国初代データ中継衛星システムはより多くのサポートを提供し、より良いデータ中継サービスを提供することとなるだろう」と述べた。

※掲載された記事、写真の無断転載を禁じます