天宮1号、宇宙での実験・研究通じ多くの重要成果

2012年 8月2日

 中国初の宇宙ステーション実験機「天宮1号」は2011年9月末の打ち上げ以来、これまでに宇宙船「神舟8号」、「神舟9号」とのドッキングに成功した。この間、中国有人宇宙飛行プロジェクト・宇宙応用システムは「天宮1号」の実験能力を活用し、宇宙空間での科学実験・応用研究を実施、重要な成果を上げている。中国新聞社が1日に報じた。

 中国有人宇宙プロジェクトの公式サイトは1日、「天宮1号」の科学実験・応用研究によって得られた3つの成果について、以下のように紹介した。

 ▽ハイパースペクトルイメージャー、解像度がより高く

 現在世界で運用されている衛星ハイパースペクトルリモートセンシングと比べ、「天宮1号」に搭載されたハイパースペクトルイメージャー(HSI)は、波長帯域、バンド数、空間分解能などの基本パラメータで優位性を持つ。

 「天宮1号」搭載のHSIは7月26日現在、すでに約7千時間にわたり安定稼動を続けており、重要なリモートセンシングデータを大量に取得している。これらのデータは初歩的な処理の後ユーザー機関に提供され、その容量はすでに2TBに上る。これらのデータは、各ユーザー機関による地質調査、鉱物資源・石油ガス資源調査、水文生態モニタリング、環境汚染モニタリング分析などに利用されている。

 「天宮1号」のHSIは、中国科学院長春光学精密機械・物理研究所、上海技術物理研究所が共同開発したもので、空間分解能とスペクトルの総合指標では現時点で中国最高を誇る。ナノレベルの解像度で地物の特徴・性質をイメージングでき、農業モニタリング、作柄評価、国土資源調査、環境アセスメント・モニタリング、都市の動的モニタリング、地質調査などの分野で幅広い応用の可能性を秘めている。

 ▽宇宙の環境をリアルタイムでモニタリング

 「天宮1号」に搭載されているもう1つの観測機器に「宇宙環境モニタリングおよび物理探査設備」がある。これは中国科学院宇宙科学・応用研究センターが開発したもので、主な機能は高エネルギー荷電粒子線および軌道上の大気環境パラメータのモニタリング。宇宙環境の予測、宇宙環境の変化メカニズム研究および、宇宙船や宇宙飛行士の安全保障に向け、リアルタイムのモニタリングデータを提供する。

 同設備は荷電粒子線探知器、軌道大気環境探知器、宇宙環境制御ユニットの3つの計器から構成される。

 荷電粒子線探知器は、近地球軌道において多方向の荷電粒子線測定を行う世界初の計器であり、多方向のセンシング、マルチセンサー統合、アンチジャミングなどのキーテクノロジーでブレークスルーを果たし、中国の高エネルギー粒子線測定技術を飛躍的に発展させた。

 軌道大気環境探知器はマルチプローブ測定などの技術を採用。軌道上の大気の密度、成分、および空間・時間的分布の変化をリアルタイムでモニタリングすると同時に、原子状酸素およびその他の宇宙環境汚染をモニタリングできる。これらの機能は、「天宮1号」や宇宙船の軌道・姿勢制御および精確な軌道変更を保障する上でとても重要だ。

 これらのデータに基づく研究成果は、「天宮1号」と「神舟9号」の有人ドッキングの際、宇宙環境予測に活用され、軌道上の大気密度予測精度が高まり、高精度な軌道予測に役立った。

 ▽可視光回折でコロイド結晶の構造を分析

 「天宮1号」内ではこの他、複合コロイドの結晶成長・相転移に関する実験が行われている。この実験は、サブミクロンサイズの荷電コロイド粒子の懸濁液を、微重力環境の異なる電場・温度下に置き、それぞれの結晶成長・相転移のプロセスを研究することで、重力がコロイド結晶の自己組織化にもたらす影響を調べることを目的とする。宇宙科学実験で可視光による回折を採用し、コロイド結晶の構造を分析したのは今回が初めて。

 これまでに3つのサンプルを使った19回の実験が行われている(等温・変圧実験が12回、自然結晶実験が6回)。地上と宇宙の同じ実験の結果を比較することで、重力が結晶にもたらす影響を調べることができる。

 同実験は、宇宙ステーションにおける長期実験のキーテクノロジーを検証するものとなり、軌道上での長期的な科学実験の管理に向けた貴重な経験となった。

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