ロンドン五輪、中国の3Dテレビ技術に好機到来か

2012年 8月3日

 4年に1度行われる五輪は、世界的なスポーツの祭典だ。現在開催中のロンドン五輪では、史上初の3D生中継が実現した。中国中央電視台(CCTV)は、「3D試験チャンネル」を通じて約300時間にわたる五輪の3D生放送を実施、一般家庭から3D業界にいたるまで、各方面から期待が寄せられている。ロンドン五輪は中国の3Dテレビ技術の発展を牽引できるのだろうか?科技日報が報じた。

 3D情報サイト「3D動力網」の市場運営総監である温宇氏は、「今年の五輪では、パナソニックの放送用3Dカメラレコーダー『AG-3DP1』および『AG-3DA1』を使った生中継が行われる。これまでの3D中継では、2台のカメラを平行もしくは垂直に取り付けて撮影し、その後コンピュータで処理して3D映像を作成していたが、コンピュータの処理に時間がかかっていた。つまり、ロンドン五輪の3D中継は真の意味で3D生中継と言える」と語る。

 ▽視聴者の声:3D効果に疑問も

 家電売り場では、「3D五輪」の宣伝文句が掲げられたフラットテレビが並び、多くの消費者の心を動かしている。

 奥維コンサルティング(AVC)の金暁鋒副総裁は「世界のテレビ出荷台数のうち、中国市場は大きな割合を占めている。今年第17週から29週にかけ、販売率は35%から40%に達した。3D機能は今後3年以内にフラットテレビに標準搭載されるようになるだろう」と語る。

 ある家電量販店の店員によると、少し前に開催されたサッカー欧州選手権および現在のロンドン五輪により、3Dテレビの販売台数が大幅に向上したという。ミニブログ上でも、3Dテレビを購入した人が3D五輪の感想を次々と発表している。「週末は家で五輪の3D生中継。やっぱりこれまでのテレビと違って、臨場感が高い!」。

 一方で疑問の声も上がっている。北京市民の陳さんは「3Dメガネをかけてもかけなくても、あまり変わらない気がする。高空からの落下や水しぶきなど、特別なシーンを除き、その他のシーンではそれほど立体感がない。しかもずっとフィルターを通して見ているので不自由だ。肉眼で直接見る方がいい」と語る。3Dメガネにも重量があるため、長期的につけていると不快感が生じ、長時間の視聴には向かない。多くの消費者が、長時間3D映像を見続けることでめまいが生じたり、3Dメガネが不快感を起こすのではないかと心配している。

 業界の専門家は「3D五輪により3Dテレビの売上が大幅にアップし、世界のカラーテレビ市場の新たな成長ポイントとなった。ロンドン五輪で3D中継がスタートし、3Dテレビのコンテンツ不足というボトルネックが緩和され、世界的に3Dテレビ市場が刺激された。調査では、ユーザーエクスペリエンスが悪いという声も上がっているが、3Dテレビ産業を発展させる上で最大の武器は技術、特に技術の蓄積だ」と語る。

 ▽業界内の声:3D中継が常態化することは必至

 ロンドン五輪は中国の3Dテレビ技術発展に好機をもたらすだろうか?

 テレビの3D化は、コンテンツ制作、番組放送、受信設備など様々な産業チェーンに関わる。ケーブルテレビネットワーク、設備メーカーなどではすでに3D技術の枠組みが完成しているものの、3Dテレビ番組がなかなか発展せず、3D技術標準の制定もまだ時間がかかるようだ。

 温氏は「産業化の鍵となるのは、国が制定中の3D技術標準だ。より良い3Dカメラを使った撮影が重要なことは疑う余地も無いが、テレビ局は新たな技術を取り入れる前に、国の標準を知る必要がある」としたほか、「3D撮影は簡単だが、良い3D番組を製作するのは簡単ではない。世界的にもまだ3Dテレビの標準体系が打ち出されていない。3Dテレビは様々な分野に関わり、技術も複雑なため、標準は1つではなく、一連の標準体系になることだけは確かだ。例えば、3D画像の品質、視覚的効果、快適性、フロントエンドと端末の接続などはいずれも標準の内容になるだろう」と語った。

 3Dテレビ産業の発展は、成熟した技術、豊富な番組が必要なだけでなく、様々な方面からの支援が必要だ。効果的なビジネスモデルと技術サービスによるサポートも必要となる。技術、コンテンツ、ビジネスモデルなど多方面が密接に協力することで初めて3Dテレビ産業を盛り上げることができるのだ。

 デジタル映像技術の成熟化に伴い、3Dブームは未曾有の視覚体験をもたらすだろう。3D番組の制作、特に3D生中継は近い将来、常態化すると見られている。これについて温氏は、「中国のテレビ技術は、現在3D産業を推進中の日韓とほとんど差が無い。問題は番組が少ないことだ。既存のテレビ放送網の改革が重要となる。テレビ局が興味を持ち初め、消費者が3Dテレビを購入すれば、3D番組も増え、良い環境が形成されるだろう」と語る。また温氏によると、インターネットテレビという環境の中で3Dテレビを成功させるには、セットトップボックス不要の一体型ハイビジョンテレビが鍵となるという。

 国による大きな3Dテレビ産業政策はすでに決まっている。業界も傍観から実質的な普及へと転向し、収益が見込める持続可能なビジネスモデルを探し始めている。3D技術は様々な分野で運用され、3D産業は絶えず改革・革新を重ね、斬新なビジネスモデルを生み出し、3D産業チェーン全体を貫く企業の発展の道も作られようとしている。

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