韓国研究所「充電時間1分のHV電池開発」に疑問の声

2012年 8月27日

 韓国蔚山国家科学技術研究所がこのほど「わずか1分間で充電できる電気自動車(HV)バッテリーを開発した」と発表したことに対し、多くの専門家から疑問の声が上がっている。中国紙、科技日報が伝えた。

 エネルギー密度や安全性などバッテリー問題は、電気自動車の発展において、技術面の最大のボトルネックとなっている。いかに短時間で安全に十分な充電を行うか、これは業界内の科学研究の重大テーマとなっている。韓国科学技術研究所の説明によると、同研究所が開発した新技術は、グラファイトをリチウム電池の陽極に浸透させ、これをナノ粒子とすることで、リチウム電池内部の粒子と充電電流の接触面積が増加し、高速充電を可能にしたという。韓国メディアもまた、韓国科学技術研究所は実験により、炭化網の構築を通じて、充電速度が一般的なリチウム電池の30-120倍に達することを証明したと伝えた。充電に数時間かかっていたのが、最速で数分間まで短縮されることになる。

 清華大学自動車工程系の教授、中国自動車工程学会常務理事の陳全世氏はメディアの取材に応じた際に、「同技術は理論的な段階にとどまっており、またリチウム電池内部でナノ粒子となるグラファイトはめったに見つからない。また同理論は、米マサチューセッツ工科大学が初めて発表したものだ」と指摘した。

 陳氏は「グラファイトにより炭化網を構築し、充電時間を短くする技術は、新しいものではない。米マサチューセッツ工科大学は5年前から、同理論の研究を開始している。私の学生は以前、同大学で博士課程を履修していたが、その時の課題もこの理論であった」と述べた。陳氏によると、同理論を実際に応用する場合、材料不足という問題があるという。グラファイトの密度・純度には厳しい条件があり、高速充電を可能とするサンプルが現在も作られていない。また同理論を実際に応用できたとしても、小さなボタン型電池から始めることになり、自動車用バッテリーの開発は遠い先の話である。

 国家863計画エコカー・新エネルギー車重大プロジェクトの専門家チームの王秉剛組長も、「リチウム電池の充電時間の短縮は可能だが、韓国メディアの報じている数分間、ましてや1分間の充電はあり得ないことだ」と述べた。

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