2012年11月12日-11月16日
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喫煙者は遺伝子に痕跡 がんリスクの判定に利用

2012年11月12日

 英国・イタリアの科学者が行った最新の研究で、喫煙者のDNAには喫煙の痕跡が残ることが分かった。この痕跡を利用し、喫煙者のがんリスクをより精確に判定できるようになる可能性がある。中国科技網が伝えた。

 このほど行われた英国がん研究所の学術会議にて、英インペリアル・カレッジ・ロンドンとイタリア遺伝学財団(HuGeF)の研究者が発表した研究結果によると、タバコは肺組織を損なうのみならず、喫煙者の血液中の一部DNA表面にも喫煙の痕跡が残るという。この痕跡によって遺伝子塩基序列が変わることはなく、また禁煙すれば痕跡もほとんどなくなるが、痕跡がある遺伝子と喫煙しない人の遺伝子を比べると、やはり差異があるという。これらの痕跡に基づき、喫煙に関連すると見られる乳がん、大腸がん、肺がんなどの発症リスクをより詳しく調査することができる。

 研究者は「喫煙と乳がんの関連性はまだ証明されていないが、これは主に、喫煙者の遺伝もしくは遺伝子発現情報への理解が足りないため」と語る。この発見で十分な情報が得られれば、がんリスクと関係する全ての遺伝情報が確認できるという。

 インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者は「この発見は、新たな検査手段の開発に役立つ可能性がある。研究者は分子レベルで人の遺伝子発現情報を調べ、喫煙がもたらすがんリスクを詳しく判定することができる」と語る。

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