2013年01月14日-01月18日
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今年の科学技術界で予想される出来事は?

2013年01月14日

 英科学雑誌「ニュー・サイエンティスト」は新たな一年における科学の発展を展望し、気候変動、健康、宇宙探査などの面から今年の科学技術界で予想される出来事を発表した。新京報が伝えた。

 【予測1】 人工臓器の実現に向け道が開ける

 順調にいけば、2013年中にはヒトの成熟細胞を幹細胞に変化させ、それをさらに別の細胞に誘導することが可能となる。これにより、ヒトの人工組織や人工臓器の実現に向け、道が開けることとなる。米カリフォルニア州のあるバイオ企業では現在、ヒトの網膜から得られた幹細胞を失明患者の目に移植し、視力の回復を目指すという研究を行っている。米食品医薬品局(FDA)が胚性幹細胞を使った臨床試験を認可したのはこれが初めて。

 【予測2】地球温暖化、北極の海氷縮小が深刻化

 2013年の気候面における最大の問題は温暖化ではなく、海氷融解だ。今年は大規模なエルニーニョ現象が発生する上に、太陽周期もピークに達するため、観測史上最も暑い一年となる可能性がある。注目すべきは北極の海氷だ。昨年、北極海氷の減少スピードは観測史上最速に達したが、今年も記録を更新するだろう。北極の変化は世界の気候に不確定性をもたらす。過去数年間のうちに欧州の大寒波、ロシアの熱波、米国の干ばつなどが発生したが、今年も異常気象に注意する必要がある。

 【予測3】精神疾患患者が急増か

 2013年5月に発表される「精神障害の診断と統計の手引き」第5版では、鬱病の定義が拡大され、身近な人を失うなどの悲劇を経験したばかりの人も鬱病患者に組み込まれることとなった。また、アスペルガー症候群も自閉症の範疇となる。今回の変更に伴い、精神疾患の患者が大幅に増えるのではないかと懸念する人もいる。

 【予測4】EUが募集する未来技術プロジェクト、最優秀プロジェクトが発表へ

 EUは2010年、月面上陸やゲノム解析などに相当する、人類にとって重要な意義を持つ未来技術プロジェクトを賞金つきで募集した。寄せられた21のプロジェクトのうち、6つが最終選考に残った。これらのプロジェクトには、脳の働き方をコンピュータでシミュレーションする「ヒューマン・ブレイン・プロジェクト」、シリコンではなくグラフェンという新素材を使って電子設備の制作を試みるプロジェクト、世界中の人や企業・政府の状況をシミュレーションし、世界的な問題を予測するプロジェクトなどが含まれる。

 2013年1月にはEUが最優秀プロジェクトを発表する。最優秀プロジェクトには10年間で10億ユーロの開発費が支給される。

 【予測5】満月より明るい彗星「アイソン」

 2012年が世界の終わりだと主張していた人もいたが、真の意味で驚くべき場面は2013年にやってくる。科学誌ネイチャーも、「今年最も驚くべき画像は彗星『アイソン』の写真になるだろう」と指摘する。この彗星は今年11月に太陽のそばを通過するが、その表面が反射する光は満月よりも明るく、人類史上もっとも明るい彗星となる可能性がある。

 【予測6】盛り上がりを見せるゲーム界、マウスが徐々に使われなくなる?

 2013年は新しいゲーム機が相次いで打ち出され、ゲーム技術の進歩が感じられる1年となるだろう。任天堂、マイクロソフト、ソニーは次々と新しい家庭用ゲーム機を打ち出し、3Dや拡張現実などの新技術が取り込まれた新しいゲームに期待が寄せられている。

 マウスが使われなくなる日が到来する可能性がある。現在開発が進められている3Dジェスチャー感知装置を使えば、空中で手を動かすだけでパソコンを制御できるようになる。このような設備は今年上半期にも発表される見通しだ。

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