2013年04月01日-04月05日
トップ  > 科学技術ニュース>  2013年04月01日-04月05日 >  PM2.5、中国の深刻な致死リスク因子に

PM2.5、中国の深刻な致死リスク因子に

2013年04月02日

 3月31日に発表された「2010年世界疾病負荷」によると、微小粒子状物質(PM2.5)による室外大気汚染は、2010年に世界20大致死リスク因子のうち9位になった。中国では、「食生活の乱れ」、「高血圧」、「喫煙」に次ぐ4位に入った。科技日報が伝えた。

 同報告書は50カ国、303の機関、488人の研究者によってまとめられ、世界的な医学雑誌「ランセット」に掲載された。同報告書によると、PM2.5の室外大気汚染によりもたらされる公共健康リスクは、人々がこれまで認識していたよりも深刻で、世界で毎年320万人以上の人が早死しており、7600万年以上の健康寿命が損なわれているという(1人の寿命が1年短縮された場合、健康寿命が1年損なわれたことになる)。中国では2010年、室外大気汚染により120万人が早死し、2500万年以上の健康寿命が損なわれた。

 2010年世界疾病負荷の環境大気汚染専門家チームの関係者は、「この推計は、世界の大気汚染による健康被害に関する証拠に基づき導き出された。この証拠には、1980年以降の中国・アジア地区の400件余りの流行病に関する研究が含まれる。中国ではPM2.5による汚染が深刻化し、中風・心臓病による死亡率が上昇している。1990-2010年、室外大気汚染による疾病負荷は33%増となった。発展中のアジア地区において、大気汚染は肺がんの重要リスク因子になりつつある。中国では2010年、肺がんの20%が大気汚染により引き起こされた。アジアでは小児急性呼吸器感染症が減少傾向にあるが、大気汚染は依然としてその重大な負荷となっている」と指摘した。

 専門家は、「大気汚染は深刻な健康被害をもたらす。環境基準を下回る大気汚染の数値が上昇しただけでも、死亡率の上昇につながる」と指摘した。他にも高血圧は中国の主要な致死リスク因子であるが、大気汚染が高血圧を引き起こす可能性もある。専門家は、「中国では北部の人の方が、南部の人より血圧が高い傾向があるが、これはそのためかもしれない」と語った。

※掲載された記事、写真の無断転載を禁じます