中国は今や宇宙大国に成長し、毎年高密度で衛星を打ち上げても世界メディアが驚くことはない。しかしこのほど甘粛省の酒泉衛星打ち上げセンターから「長征2号丁」ロケットで打ち上げられた衛星は、メディアと人々から大きな注目を集めた。その理由は、初めて1度に4基の衛星を同時に打ち上げたため、そして打ち上げられた衛星の1つ「高分1号」が、国家科学技術重大特別プロジェクト・高解像度地球観測システムの第1基衛星であったためだ。「高分1号」の打ち上げは、中国の高解像度リモートセンシング衛星データの国産化が決定的な一歩を踏み出したことを意味する。人民日報海外版が伝えた。
▽高水準を誇る「高分1号」の解像度・分解能
「高分1号」は中国航天科学技術集団公司所属の宇宙技術研究院、航天東方紅衛星有限公司が開発したもので、高い空間分解能・マルチスペクトル・広範囲カバーを結びつけた光学リモートセンシングなどのコア技術で飛躍を果たした。使用寿命は5-8年で、低軌道衛星の平均寿命3年を上回る。「高分1号」は「宇宙の千里眼」との異名を持ち、空間分解能、時間分解能、スペクトル解像度、放射解像度の4方面で高い能力を誇る。空間分解能とは、地上の目標を個別に識別できる2点間の最小距離を指す。「高分1号」のカメラは、現在中国最高の解析度を誇る地球観測衛星「資源1号02C」で使用されているカメラと似ており、空間分解能は2メートル前後に達する。時間分解能とは、同一の地物を繰り返し観察する際に必要な時間を指し、「高分1号」はわずか4日間で地球全体を観測することができるという。一般的に、空間分解能と時間分解能を同時に高めることは非常に難しく、どちらか一方を犠牲にしてもう片方の水準を高めることが多いが、「高分1号」は両方を同時に高めることに成功した。「高分1号」はこのほか、中国の衛星の中で最高水準の高解像度マルチスペクトルイメージング能力を有し、白黒写真のほか、赤黄青緑の4スペクトルからなるカラー画像を伝送することができる。
今回の打ち上げでは「高分1号」の他、トルコ、アルゼンチン、エクアドルが開発した3基の国外衛星が同時に搭載された。中国が衛星4基の同時打ち上げを行うのはこれが初となる。
▽データの国産化に成功
高解像度の地球観測システムを最も早く発展させたのは米国で、すでに多くの高解像度衛星が運行しており、軍事的・経済的利益をあげている。このほか、イスラエル、フランス、インドなどの国も数基の衛星を打ち上げているが、これらの国はデータ共有に消極的な態度を示しており、アジア・アフリカ諸国の情報取得手段が制限されている。
「高分1号」プロジェクトの総指揮兼システム総設計師である白広照氏は、「高分1号は国外システムの代替となり、国民経済の建設において急ぎ必要な高解像度リモートセンシング衛星データの国産化を実現する。2020年までに、中国の衛星画像データ自給率は60%から80%に高まると見られる。同衛星の主な使用者は、中国国土資源部(国土資源省)、中国農業部(農業省)、中国環境保護部(環境保護省)で、このほか、中国の10あまりの部門と関連地域に向け、応用サービスを提供する。高分1号の減災・災害救助における最大のメリットは、精確性と適時性であり、災害救助に向けて迅速かつ精確な情報を提供することができる」と語った。
▽成熟には長い道のりが必要
白広照氏は「高分1号の測位精度と姿勢安定度はいずれも国内の衛星を上回るが、中国の衛星リモートセンシング技術を国外先進レベルと比べるとまだ大きな隔たりがある。差が見られるのは主に解像度、衛星の姿勢の機敏性(アジリティ)などだ」と語る。
ロシア紙も「中国は衛星技術である程度の成果を得ているが、高解像度の衛星技術においては依然として『初心者』であり、商用化も遅れている」と指摘している。
高解像度地球観測システムは2020年までにその他の観測システムとリンクし、時間空間的協調能力、全天候型・24時間の全球地球観測能力を備える安定的なシステムを形成する。
後続衛星の開発では、「高分1号」を基礎とし、さらに高い解像度・精度を目指し徐々に発展させていく。同プロジェクトの実施により、中国の衛星リモートセンシング技術の経験が蓄積され、技術的飛躍につながるだろう。