復旦大学の研究チームはこのほど、ヒト胚性幹細胞を特定の神経細胞に転化させ、さらに転化後の中間細胞を学習・記憶の能力を失わせたマウスの脳に注入し、学習・記憶能力を回復させることに成功した。同成果により、ヒト幹細胞の脳への移植が可能であることが初めて証明された。このことは、神経機能の欠損による疾患の治療にとって大きな意義を持つ。人民日報が伝えた。
同研究を行ったのは、復旦大学の長江学者奨励計画特別招聘教授、ウィスコンシン大学マディソン校神経生物学科終身教授である張素春教授率いる研究チーム。この成果は権威ある科学誌「ネイチャー・バイオテクノロジー」の最新号に掲載された。
張教授は「幹細胞移植研究の最終的な目標は、細胞の代替により脳の損傷を修復することだ。しかし、幹細胞治療で今すぐ効果を得るのは難しい。多くの神経病は脳のどの部分に原因があるのかはっきりわかっていないためだ。今回の研究は、薬物スクリーニングモデルの構築に応用される可能性がある」と語る。