2013年06月03日-06月07日
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光学イメージング技術 サブナノ級の時代に突入

2013年06月06日

 中国科学技術大学の研究者はこのほど、世界初のサブナノメートル(1ナノメートル未満)解像度を持つ単一分子光学ラマンイメージング技術を開発、化学識別機能を持つ空間イメージングの解像度が、これまで到達しえなかった0.5ナノメートルに達した。同成果は6日に科学誌ネイチャーのオンライン版に掲載された。人民日報が伝えた。

 同成果は、中国科学技術大学ミクロスケール物質科学国家実験室の侯建国院士が率いる単一分子科学チームの、董振超研究チームによって実現された。博士生の張瑞氏、張堯氏が論文の第1著者となった。

 物質世界における分子は非常に小さく、一般的には1ナノメートルほどで、髪の毛の直径の6万分の1に相当する。これほど小さなサイズは、光学顕微鏡でも観察が不可能だ。ナノ級・サブナノ級のサイズのイメージングを実現し、分子の化学情報を識別することにより、人類の分子構造に対する理解を促進し、ミクロの世界の研究を進めることは、国際科学界が注目し続けている問題だ。

 董氏は、「光の周波数は散乱後に変化が生じる。この変化は散乱物質の特性によって左右される。これはノーベル賞を受賞した、ラマン散乱分光法だ。人の指紋によりその人の身分を識別できるのと同じく、ラマンスペクトルの形状もまた、科学者が異なる分子の『指紋』を識別するスペクトルになり、物理・化学・材料・生物などの分子構造研究の重要な手段だ」と説明した。

 ミクロスケール実験室単分子科学チームは、高解像度走査型トンネル顕微鏡技術と高感度光学検査測定技術を一体化させた共有システムを発展させ、化学識別の解像度をかつてない0.5ナノに到達させ、分子内部の構造および分子表面の吸着構造を識別できるようになった。董氏は、「同研究はミクロ世界の理解、特にミクロ活性化反応メカニズム、分子ナノ機材のミクロ構造、DNAコードを含む高解像度生物分子画像化にとって、重要な科学的意義と実用的価値を持ち、単分子非線形性光学および光化学過程の研究に向け新たな道を切り開いた」と語った。

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