2013年06月17日-06月21日
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千年に一度の宇宙授業 成功させるために何を準備すべきか?

2013年06月19日

 中国有人宇宙飛行プロジェクトのウェブサイトでは、数千人のネットユーザーが有人宇宙船「神舟10号」の宇宙飛行士に対し、さまざまな質問を投げかけている。そのうちの一部は、女性宇宙飛行士の王亜平氏がまもなく実施する「宇宙授業」の中で、回答を得られるかもしれない。報道によると、今回の宇宙授業では、宇宙飛行士の楊振寧氏、孫家棟氏といった地上の専門家による補助的な解説が加えられるという。また全国の中高6校の学生が代表者として、ユニークなアイデアを持ち交流に参加する。人民網が伝えた。

 授業を成功させるためには、その下準備が必要だ。しかし宇宙からの授業はハードルが高く、受講生も幅広いため、特別な授業になることが予想される。それでは宇宙授業の前に、どのような下準備するべきだろうか。

 まずは、学生側の需要を理解する必要がある。今回の授業は「青少年」を対象としているのだから、教師側は宇宙を仰ぎ見る子供たちが何を考えているか、何に興味を持っているかについて理解し、熟知するべきだ。しかし実際はどうだろう。神舟10号が打ち上げられ、宇宙授業の情報が伝えられると、中国有人宇宙プロジェクトのウェブサイトでは数千人のネットユーザーが多くの質問を提出しているが、そのうち青少年はどれほど含まれているだろうか。これらの質問のうち、実際に宇宙飛行士に伝えられ、授業の材料となるものはどれほどあるだろうか。授業の前に、まずは議論を先に進めるべきだ。宇宙授業は非常に得難いものであり、「学生の需要の理解」も大規模かつ綿密に行われるべきだ。平時は交流を促進していないにも関わらず、実施段階になり焦って準備をするのでは、授業でどれほどの成果があげられるか疑問だ。

 次に、教材の準備だ。宇宙授業は地球から数百キロ離れた宇宙空間で行われる。星の輝きと共に知識が伝えられ、宇宙の特色を帯びる。地球の環境とは全く異なるこの特色は、授業で重点的に示される内容になるだろう。しかし宇宙授業は米国で1度しか行われておらず、中国にとっても初の実施となる。そのため完璧な教材を期待するべきではないが、その内容については少しだけ明らかにされている。報道では「一滴の水」という神秘的な表現がされた。王氏は授業の準備をする際に、この教科書のない教材を学生の興味と結びつけ、十分に予習することができただろうか。十分な準備により、肝を据えて授業を行えるだろうか。

 それから、教え方だ。教師一人の力は限られているため、今回の宇宙授業では、豪華な解説陣による補助的な「解説」が付け加えられる。また学生の代表者が積極的に参加することで、授業が活き活きとしたものになるだろう。しかし、この授業が「公開授業」であり、また交流に参加する学生が早くから内定していることから、今回の授業は一種のショーになる恐れがある。専門家らは流暢かつ的確な解説をするかもしれないが、学生たちは「詰め込み式」の教育方法ではなく、実際のデモンストレーションや原理説明を通じて、真の意味で理解を深めることができるだろうか?

 宇宙の授業は千年に一度のチャンスであり、我々にとっては一生に一度のチャンスでもある。それならば次に行われる授業をより良くするため、今回の初授業で「あら探し」をし、過分の要求をすることは、今回の授業の果たすべき責任であるはずだ。

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