2013年06月17日-06月21日
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蛟竜号、香港の科学者を乗せ潜水を実施

2013年06月20日

 有人潜水艇「蛟竜号」は19日午前、今回の航行で3回目となる潜水作業を実施した。今回の潜水では、香港浸会大学・生物学部の邱建文准教授が蛟竜号に搭乗し、冷水噴出域でのサンプル採取、高画質動画の撮影などを行った。蛟竜号は午前9時31分に潜水を開始、午後4時18分に浮上し、各任務を無事終えた。人民日報が伝えた。

 邱准教授は、大型の底生生物、海洋の生物多様性、漁業資源保護などの研究を主に行っており、今回の南中国海深海科学計画のプロジェクトメンバーの1人。潜水にあたっては、邱准教授の他、付文韜氏、葉聡氏の2人の潜水士が同行した。

 今回の潜水では、18日の潜水時に同済大学の周懐陽教授が観測した石筍状の物体のサンプル採取に成功したほか、いくつかの海底生物・堆積物のサンプルを持ち帰った。邱准教授は「この物体は海綿動物のガラス海綿の一種である可能性がある。具体的にはさらなる研究が必要だ」と語った。

 ここ数日間の潜水で、蛟竜号は長基線測位システムの性能を確認し、海底地形測量などの作業を行い、一部の海底パラメータを観測、大量の高画質画像・動画を撮影し、弁鰓類、カサガイ、炭酸塩などのサンプルを持ち帰った。


 ここ数日間の潜水で、蛟竜号は長基線測位システムの性能を確認し、海底地形測量などの作業を行い、一部の海底パラメータを観測、大量の高画質画像・動画を撮影し、弁鰓類、カサガイ、炭酸塩などのサンプルを持ち帰った。

 専門家は「これらの生物サンプルは、海洋の極限環境における生命間の関係を研究するのに役立つ。海洋極限環境下の食物連鎖は、光合成ではなく海底の流体に存在するメタンや硫化水素に生存を依存しており、現在に至るまで解明が進んでいない」と語る。

 今回の潜水任務の第1段階では、南中国海の特定海域における超短基線(USBL)測位システムの信頼性・安定性などの確認、長期線測位システムの実験を行うほか、南中国海深海科学計画の一環として、冷水噴出活動の物理化学環境、生物多様性、生物地球化学、および海山岩盤の性質と年齢などの研究を行う。

 次なる第2段階では、北東太平洋の中国多金属団塊資源契約区内の試掘区で、土壌工学のパラメータテストおよびその他の測量・サンプリングを行い、鉱物採集車の設計に向けデータを提供する。

 第3段階では、北西太平洋のコバルトリッチクラスト資源調査区で写真・ビデオ撮影、音響地形調査とサンプル収集を実施し、海山区の環境管理計画に向け技術支援を提供する。

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