2013年07月01日-07月05日
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中国のネット安全、海外からの脅威にさらされる

2013年07月05日

 国家コンピュータネットワーク緊急技術処理協調センター(CNCERT)は7月4日、「2012年中国インターネットセキュリティ報告書」を発表した。人民日報が伝えた。

 同報告書によると、中国では2012年、重大なネットセキュリティ事件は発生しなかったものの、中国のネットインフラを対象とする監視・侵入・攻撃事件がしばしば発生しており、深刻な被害は生じていないが、組織的なサイバー攻撃はネットインフラの安全保障の深刻な課題となっている。

 ◆5000万件のユーザー情報が売却

 サイトがバックドアなどの目に見えぬ攻撃を受ける事件が、2012年は増加傾向を示した。サイトのユーザー情報は、ハッカーの窃盗の重要対象となった。

 中国国内で改ざん被害に遭ったサイトは2012年に1万6388サイト(前年比6.1%増)に達し、そのうち政府系サイトが1802サイト(21.4%増)となった。バックドアを埋め込まれたサイトは5万2324サイト(213.7%増)に達し、そのうち政府系サイトが3016サイト(93.1%増)となった。

 また一部の統計データによると、2012年、国内の50数サイトのユーザー情報データベースがネット上で公開・拡散されるか、非合法のルートを通じて売却された。うち本物の情報と確認されているものだけでも、5000万件弱に達する。

 ◆経済的利益を盗むハッカー

 ネット上のフィッシング詐欺が2012年に氾濫し、オンライン金融サービスやEC事業の発展に深刻な影響をもたらし、大衆の利益を損ねた。オンライン上での経済活動が持続的に増加し、オンライン販売・決済総額が急増していることから、経済的利益を目的とした窃盗がハッカーのサイバー攻撃の主要目的となっている。

 2012年に国家コンピュータネットワーク緊急技術処理協調センターが発見した、ハッカーの詐欺にあったユーザーの銀行カード情報は1万8000件に達した。

 ◆アンドロイドでマルウェアが横行

 中国のモバイルネットワークユーザーは2012年に安定的に増加し、スマートフォンの販売数が世界一となり、アプリストアのダウンロード件数が急増した。これと同時に、モバイルネットワークのマルウェアも急速に拡散され、ユーザーのプライバシーの安全を損ね、ジャンクメールを氾濫させており、感染したユーザーに通話料などの損失を生じさせている。

 2012年のモニタリングおよびネットセキュリティ企業に報告された、モバイルネットワークのマルウェアのサンプルは16万2981件に達し、前年比で25倍に増加した。そのうち約82.5%のサンプルは、アンドロイドを対象としたものだった。アンドロイドではマルウェアが横行しているが、これはアンドロイドのユーザー数の急増と、その高い開放性が原因だ。

 ◆海外からのサイバー攻撃が深刻化

 2012年に実施されたサンプリング調査によると、海外の約7万3000のIPアドレスが、トロイの木馬またはボットネットの操作するサーバーとして、中国大陸部の1419万7000台余りのホストコンピュータを制御し、前年比でそれぞれ56.9%・59.6%増加した。

 そのうち米国では1万2891のサーバー(海外全体の17.6%)が、中国国内の1051万2000台余りのホストコンピュータを制御し(海外による制御の74.0%)、いずれも米国が世界最多となった。

 これらの制御されたホストコンピュータは、ハッカーにより遠隔操作されている。これによりユーザーのコンピュータに保存されている情報が盗まれ、ハッカーがこれを踏み台として他者に攻撃を加える可能性もある。

 サイトのバックドア被害に関して、海外の3万2000台のホストコンピュータがバックドア埋め込みにより、中国国内の3万8000サイトを遠隔操作していた。そのうち米国では7370台のホストコンピュータが、中国国内の1万37サイトを制御し、世界最多となった。

 中国を対象とするフィッシング詐欺の拠点の96.2%は海外にあった。そのうち米国では2062台のホストコンピュータが、中国国内のサイトを対象とする1万8230ページのフィッシング詐欺ページを請け負っていた。米国に位置するフィッシング詐欺の拠点は、海外全体の83.2%を占め最多となった。

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